もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ39)

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繋いだ手が、痺れるほどに熱くなる。
それは柔く結ばれている。
振り解けるくせに、そうしないのは、
私がそれを嫌と思っていないからで────

「俺、ヤシロのことスキ。多分、ずっと前から」

人生初の告白に、今までの砕け散った恋が蘇った。
苦々しい思い出に、ぽろりと涙が零れる。
彼はあたふたとハンカチを取り出して、私に渡した。
心配そうに見つめているその目は、
ずっと私の方を向いていたんだ。
そう思うと思わず、頬が緩んだ。

「……もし、ヤシロも俺と同じ気持ちだったら、
俺と付き合ってくれないかな」

花火はまだ続いていたが、その音も聞こえない程の、
私の心臓の音。
バレてるかな？と恥ずかしくなった。

正直、彼はタイプではない。
でも────

今日の事や、つい昔の事。
彼に振り回されるのは、むず痒くて、楽しい。
きっと私も、彼の事を好きだと思っているのだろう。
それを無理やり否定してきただけで。

「私も、あまねくんのこと……好きだよ」

彼の顔が赤く染まっている。
きっと私も同じようなものなのだろう。

花火のフィナーレを告げるように、
黄金色の雨が降り注いだ。

END