もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ35)

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金魚すくいページ35

やっとの思いで、型抜きをクリア。
その賞金は、お礼と言ってはなんだけれど、あまねくんに渡した。

「じゃー俺、金魚すくいしようかな」

家で飼っててさ。と言った。
前、行った時には見かけなかったが、違う部屋にあるのだろう。
金魚すくいは１ポイが百円。
私が渡したお金で、二つ買えるらしい。
空を見上げると、いつの間にか夕闇が覆っていた。
目を凝らすと、星が瞬いている。

「はい、ヤシロ」

と、ぼうっとしていた私に、ポイを渡した。
自分を指さして、いいの？と聞くと、勿論。とはにかむ。
どっちが多く取れるか勝負ね。
その目は爛々として、獲物を狙うよう。

勝負を持ち出しただけあって、なかなか上手い。
あっという間に、1匹。しかも出目金。
出目金は結構難しいのに。と心の中で拍手を送る。
こうしてはいられない。私も集中しないと。
何かのテレビで、金魚すくいのコツをやっていた気がする。
確か……全体を濡らすんだっけ？
濡らさないように、ちょっとだけしか使わないんだっけ？
今となっては思い出せない。
そんなうちにあまねくんは、3匹目。
まあ、いいや、と私は近くに居た、小さい金魚に狙いを定めた。
小さくても大きくても、1匹は1匹！
私は静かに、水面にポイを入れた。