もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ30)

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あーんページ30

椅子に座ると、じゃあ食べよっか、と割り箸を割る。
ヤシロは、何を食べるか迷っているようだ。
確かにこれだけあったら、迷ってしまうのも仕方ない。
俺はとりあえず近くにあった、お好み焼きに箸を伸ばした。

「これ美味しいよ。ヤシロも食べなよ」

と切り分けて君の口に運んでから気づいた。
これは所謂間接キスで、しかも今俺がやっていることは……
思わず恥ずかしくなり、箸をヤシロの口から話す。
それが悪戯している様に感じたのだろうか、
彼女は素早くお好み焼きを頬張った。
その顔は軽く上気している。

「美味し……」

それでストッパーが外れたのだろうか、
それとも元々食べるつもりだったのか。
ヤシロは容器を開け、食べる、開け、食べる。を繰り返し始めた。
口いっぱいに頬張る彼女を見て、
笑いが堪えきれず、思わず噴き出した。

「ヤシロ、ソース付いてる」

と、割り箸と一緒に付けられていた、おしぼりで彼女の口元を拭う。
彼女は一瞬ポカンとして、目を瞬かせると、
子供のように無邪気に笑った。
そんな顔もするんだな、と不覚にも照れる俺。
照れ隠しに、箸巻きを口に入れた。
君とずっと一緒に居たいと、思うのは。
俺だけなのだろう────

「はい、あまねくん。あーん」

と、悪戯っぽく笑った。
なーんて。と自分の口に近づけようとする、それを
ひったくって、食べる。
顔が思いの外近くなっていて、俺たちは思わず顔を逸らした。

熱に浮かされたように笑う君も、
鼓動が鳴り止まない俺も。

これはきっと祭りの空気のせい。

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次の作品何にしましょ……
今は、花子くんの過去編と夢主が出てくるものを考えています。
もしリクエストがあれば、お願いします！