もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ28)

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勘違いページ28

「……柚木って、大根ちゃんと行くんだよね？」

前柚木のあだ名考えとくって、言ってなかったか？
忘れてるのか、諦めたのか……
確かにあいつ掴み所ねーからな。
俺は目的の6の札から、目を離さずに、軽く頷いた。

「誰、あの子」

と、ミツバが不思議そうに言うものだから、
思わず振り返ってしまい、球は大きく目的からズレた。
柚木と一緒にいたのは……美少女。
緑の髪に、伏せがちの目。どこをどう見ても、寧々ではない。
柚木はそんな彼女と、至極楽しそうに練り歩いていた。

「誰だよあいつ……」

寧々はもう帰ったのか？
いや、帰らせたのか？
どっちにしても、このままにしてしまっては。
その少女が柚木から離れた頃に、俺はゆっくりと一歩踏み出した。
俺は視力、両目とも1.5で、いい方だ。
見間違えではないと思うが……

「おい柚木、寧々は？」

言ってから後悔した。
もう俺は柚木の事情には首を突っ込まないと決めたのに。
未練がましいな、と自虐的に笑った。
柚木は、ん？と首をひねる。
その大きな目を閉じて唸った。
そんな時、俺の脳裏にひとつの考えが閃いた。
それは馬鹿みたいなことで、絶対違うはずだと思うが。
数十秒後、彼はぱっと顔を輝かせた。

「ああ、ヤシロさんね、八尋寧々だっけ」

彼は確認するようにゆっくりと言葉を溶かすと、
俺に同意を求めた。
先程の考えがどうも現実味を帯びてやまない。