もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ25)

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人酔いページ25

小さく呻きながら、ヤシロはその小さな隙間に身体を押し込んだ。
華奢な彼女にはそれで十分なようで、するりと抜けると
俺の手にもう片方の手を添え、引っ張った。
このままずっとここに入れば、ずっと手を握っていてくれるのではないか。
という考えが浮かんだが、押し寄せられ、俺の体力ももう限界だった為、
その手にひかれることにした。

「大丈夫？あまねくん」

女子に心配されるなんて恥ずかしいな。と平気そうな顔をして見せた。
昔から、人がいっぱいいる所は苦手なのだ。
閉所恐怖症とか言うのだろうか？狭いところもあまり得意ではない。

「ダイジョーブ。ここ離れようか、危ないし」

抜けたとは言ったものの、ずっとここで
モタモタしているとまた巻き込まれるかもしれない。
今度は先程と反対、俺がヤシロの手を引く形となった。

「……ごめん、ちょっと休んでもいい？」

と近くの椅子に腰を下ろすと、鞄から絆創膏を取り出した。
下駄を脱ぐと、親指と人差し指の間にそれを貼り付けた。
靴擦れでもしたのだろうか。なんで気づかなかったのだろう。

「靴擦れ？気づかなくてごめんね」

するとヤシロはぽかんとしたように口を開けた。
そして激しく首を横に振る。