もしもの話【地/縛/少/年/花/子/く/ん】 (ページ22)

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蛇足ページ22

暫くすると、あまねくんが私の家に来た。
制服じゃない彼は、余計幼く見える。

「ごめんね、つかさがぐずりだして……」

あまねくんと同じ顔の彼が、ぐずっているのを想像し、
思わず笑みをこぼす。
相変わらずあまねくんと、正反対だなぁ。

「浴衣似合ってるね、可愛い」

ひひ。とあまねくんは笑った。
光くんに着付けてもらった甲斐があった。

「ありがとう。光くんに着付けてもらったんだ」

言ってから、これは蛇足だと分かった。
あまねくんが、剣呑な目付きで私を射抜いたからである。
折角彼と行くのに、ほかの人の名前を出してしまうなんて。

「……ふうん。じゃあ行こっか」

少し不服そうに私の手を掴んだ。
手を繋いでいるとわかった時、私の顔は火を噴いた。
離そうとしても、思いのほか強い力で拒まれる。
いくら小さくたって、やっぱり男の子なんだな。

夏祭りの会場は、ここから歩いて数分だ。
それでも、手を繋いでいるからか、
その時間は悠久に感じられる。
というか、手を繋ぐなんて……彼氏彼女じゃないんだから。
じっとりと汗が滲む。
それが自分の汗か彼の汗なのかは私には分からなかったが。