壁は ページ19
浴衣を着せてもらうにしても、
まずは下着にならないといけないわけで。
いくら幼馴染と言ったって、それには抵抗があった。
「ちょっと浴衣のセット持ってくる」
と隣の部屋に移動し、着ていたTシャツと半ズボンを脱いで、下着になる。
浴衣一式を取り出すと、その上に積まれていた服が、
派手な音を立てて崩れた。
そこで何を思ったか、光くんが、ひょこりと
ドアから顔を出してきた。
「うあ」
と赤面して音速で顔を引っ込める彼。
なんで見たのかは知らないが、
きっと音に心配して来てくれたのだろう。
それにしてもノックくらいしてよね……
私は浴衣を羽織ると元の部屋に戻った。
「ごめん。寧々。なんか音したから心配で……」
しどろもどろにそう言う。
やはり思った通り。
優しさが空回りしてしまったようだ。
「大丈夫。ありがとね。お願いできる？」
と腕を水平に伸ばす。
速すぎて何をしているのか、イマイチ分からなかったが、
あっという間に着付けが終わった。
それは先ほどの気まずさを、誤魔化しているよう。
「ありがとう。じゃあ行ってくるね」
と言った私の肩をぐいと引き寄せた。
思わぬ力に私はフラフラとよろけた。
「お前さ……髪そのままで行くのか？」
と頭を指しながら言う。
今の私の髪の毛は、おろしていて
どう見ても浴衣向きとは思えない。
「ほんとだ。どうやって纏めるかな」
私の髪は幸い長い方なので、
ヘアセットに困ることは無い。
「それなら浴衣着る前に、髪やっときゃ良かったな……」
洗面所に行ってヘアゴムをとってきた彼。
私の髪の扱いに苦戦しているようだったが、
それでも数分後に綺麗にまとまった。
「これでどーだ？」
ひと仕事終えたと言うように言う。
試しに一回りしてみるが、文句のつけ所がない。
「ありがとう光くん！ 何から何までやってもらって」
今度こそ行こうと、バックにお財布などを詰めた。
下駄をはこうとした時、2枚の絆創膏を手渡された。
「それ足の間に貼っとくと、靴擦れしにくいから……
まあ今貼らなくても一応持っとけ」
じゃあオレも帰るわ。と荷物を片付け出した。
そういや何も勉強出来なかった。
また空いている日にやろうかな。
私たちは一緒に家を出た。
光くんを家まで見送ってもう一度私の家に帰ると、
まだあまねくんは居なかった。
ので、玄関先で待つことにする。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「学パロ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
