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「源くん、何読んでるの?」
僕がそう声をかけると、彼は読んでいた本から顔を上げた。
「あー、これ? 兄ちゃんから貸して貰ったやつ」
源くんが本を読むなんて、心の中で笑いながら、背表紙を見た。『怪異と彼岸』と禍々しい字体で書かれている。
「へー、面白そう」
心にも無いことだったが、自分から聞いたのに無反応ではどうか、と思ったからだ。彼は快活そうな笑みを浮かべ、僕にそれを手渡した。
「貸すよ。オレもう読み終わったし」
さっき読んでたのは? そう聞くと、二周目。あっさり返された。
「でもお兄さんから借りてるんでしょ?」
彼は少し唸った後、もう一度笑った。
「兄ちゃんも友達に貸すんだったら、良いって言うと思う」
『友達』何だかむず痒い響きだ。頬が緩まないように、必死で平静を繕った。
「じゃあ、借りるね」
借りるつもりはなかったけれど、ここはお言葉に甘えるのが筋ってものだろう。
「返すのはいつでもいいからさ」
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鏡音モモ - 更新楽しみです!待ってます! (2019年2月6日 22時) (レス) id: 3a5858e165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らて | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/c9a561f24d1
作成日時:2018年10月15日 19時