合作短編集第二弾！【地/縛/少/年/花/子/く/ん】

花が散る時@らて ページ7

『花吐き病』
片思いを拗らせたものに、発症する病気。発症者が吐き出す花に触れると感染する。
その相手と両想いになることか、その想いを断ち切ることで、完治することが出来る。

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少し前に、ヤシロがその病気を、題材にした漫画を、俺に半ば無理やり押し付けてきた。『返すのはいつでもいいから』と。面白い設定だな、そう思っていたんだけど。
……自分に起こっちゃったら、笑えないよね。

それをようやく半分ほど、読み終えた時だろうか。喉がズキズキと痛み出したのは。最近色々あったし、疲れているのかもしれない、徐に目を閉じた───

喉の痛みで、目が覚めたのは真夜中。先程目を閉じた時とは、比べ物にならないような痛み。と、猛烈な吐き気。
目を開けると、月明かりで青白く照らされたトイレに、一際目立つ桃色が一葉。

「な、に」

なにこれ、そんな四文字も、吐き出すことが出来なかった。言葉と一緒に、桃色の花が俺の口から溢れる。降り積もったそれを見て、彼女に貸してもらった、漫画を思い出す。

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「俺、ヤシロのこと────」

ヤシロの目から、零れ落ちる涙を、ただ眺めていた。今の俺には、それを止めてあげることも出来ないから。
ごめんね、俺臆病だから。この気持ちを、受け取ってもらえないことが怖くて。君への想いを断ち切ることにしたんだ。

────

あの日から、もう花は咲いていない。
喉の痛みは治まったけれど、心に穴が空いてしまったようで。


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カタクリの花言葉……初恋

秋さんが奇病ネタで書いてたので。
おかしいとこ多々あるので、雰囲気だけ楽しんでくださいね！

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