不思議な夢 其の伍 ページ16
静かに時間が流れる
長くないはずなのに、きっと数秒のことなのに長く感じられた
僕の頬に触れるその手は暖かい、だけど冷たい
そんな なんとも言えない感覚だった
「ミツバってキレイな顔してるね。でも…どこか寂しそう」
顔を親指でふにふにいじられる
柔らかい笑顔のまま、そいつは続ける
「僕ね、友達がいないんだ。ここに来てからみんなに話しかけても知らんぷり。今もずっと気づいてくれなくって…
…僕何かしたのかなぁ…」
薄く目を開けて、悲しそうに笑った
その顔もどこか儚げで、触ると壊れてしまいそうな顔だった
その姿は沈んでいく夕日と重なってさらに消えしまいそうな雰囲気を漂わせる
___僕は睡蓮に手を伸ばした
その行動に驚いたのか、目を丸くする
だけど、今手を伸ばさないと 空に溶けていってしまう
そんな気持ちが僕の中に浮かんでいた
そいつは訳もわからないというような顔で首を傾げる
「…あのさ、僕だって人に嫌われたいわけじゃない。だけどあまりにも何も被らないで丸腰で行ったら世間がそれを嫌う。人もそれが鬱陶しいと感じる
いじめる奴らが綺麗事を並べるような、そんな世間なんだから」
すらすらと言葉が出てくる
何かがこいつを見て出てきたのかもしれない。そんなの知らない
だけど
「あんたは昔の僕に少し似てる。だから今あんたの気持ちも少しはわかる」
子供っぽく、大人になろうと藻掻いた昔の僕に
自分を受け入れてもらう為に猫をかぶらなかった昔の僕に
「人って、自分に非利益な奴を除外しようとするんだよ。だからいじめて省こうとするんだけど、それがいつしか快感に変わっていく。
それは「人間の本能的な部分」……まぁ、そうだね」
体制はそのままで、睡蓮は顔を伏せる
「……それだけなのかな。」
そう呟く彼女の声は、どこか震えていた
「僕、確かに仮面を外してた。だけどそれだけじゃない…」
「…?どう言うこと?」
聞くと、そのまま黙ってしまった
その様子にため息をつく
「…まぁ、どんなことがあったなんて知らないけどさ…
……わかった。いいよ。友達になっても」
しばらくの沈黙
「えっ!?いいの…!?」
驚いたように顔を上げ、顔をさらに近づけた
「ちょ!近い!離れてよ!」
「え、あ、あぁ…ごめんよ…、でもなんで急に…?」
ぺたんと座って、ため息をつく。なんかつかれるな…
「…別に…」
言葉に詰まる
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花っち♪ - わたしも参加したいです! (2019年9月9日 20時) (レス) id: a210479166 (このIDを非表示/違反報告)
エユ(このみ☆)(プロフ) - わたあめメンタルさん» 合作のことでしたら、いつでも参加OKですよ!参加したいのでしたら、レスをください。パスワードをお教えします。上から目線&合作主催者様じゃなくてすみません! (2019年4月1日 17時) (レス) id: 565c3a754b (このIDを非表示/違反報告)
わたあめメンタル - いいなぁ私も参加したかったぁっ…… (2019年4月1日 17時) (レス) id: 76c937fda4 (このIDを非表示/違反報告)
エユ(このみ☆)(プロフ) - 白夜の幻想者さん» Gファンタジー…近くの書店で売ってないんですよね…(泣)漫画が出るのを大人しく待ちます… (2019年3月19日 20時) (レス) id: 565c3a754b (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - みゃのさんさん» ですね!!今日Gファンタジー買いました! (2019年3月18日 22時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
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