合作短編集第二弾！【地/縛/少/年/花/子/く/ん】

もしもの未来@らて ページ15

彼がここに来るのを、待つ。もし来なかったら、なんてことは考えない。彼は……ちゃんと約束を守る人だ。

「おーい、三葉。来たぞー」

その手に握られていたのは僕のカメラと、現像した写真が入っている袋。僕は浮遊霊だから、学園の外にも出られるんだけど、『待ち合わせ』って友達っぽいし。

「中見てないよね？ 約束通り」

聞かなくたって知っている。思った通り「見る訳ねーだろ」と不服そうに呟いた。

「信用しろよ、友達だろ？」

臭いセリフに思わず笑ってしまう。どうして源くんは、恥ずかしげもなくそんな事が言えるのだろう。……ほんの少し羨ましく思えた。
御丁寧にはられた封を左手で剥がす。短い人生だったけれど、昨日が一番楽しかった。そう胸を張って言える。

────
写真を見終えて、再び封を貼り直す。
元々薄く、ぼんやりとしていた三葉の輪郭が、更に透けはじめた。

「……あ、もう時間か」

時間。三葉がこの世にいられる時間。
昨日もそんなことを匂わせていた。『そしたらもう……きっと大丈夫だから』
わかっていたはずなのに、改めてその現実を突き付けられると、やっぱり悲しい。

「泣かないでよ、源くん」

透明な手でオレの頬にそっと触れた。無いはずの体温を、感じることが出来た気がする。

「……またな、三葉」

三葉はふにゃりと、至極嬉しそうに微笑んだ。

「またね、源くん」

────
別に、皆の記憶に残らなくても、良かったんだ、僕は。たった一人でも、僕のことを覚えていてくれたら、それで満足だったんだ。

「忘れないでね、僕のこと」

「忘れるわけ、ねーだろーが」

僕は、誰かの……いや、違うな。

僕は────君の一番目になりたかったんだ。


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三葉がちゃんと成仏出来たら、っていう話です。
白夜さんとか木の実さんみたいに、スピンオフ書くのも楽しそうですね！
私も書きたいんですけど…夢主死んじゃってるからな(笑)

不思議な夢　其の伍→←何故@木の実☆（このみ☆）

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