合作短編集第二弾！【地/縛/少/年/花/子/く/ん】

不思議な夢　参 ページ11

「とりあえず写真撮っちゃわないと。産まれちゃうよ？」

そのまま子供っぽく笑いながらそう言う

訝しく思いながらも、僕はカメラを持ち直した

パリッコツっと言う音が段々大きくなって、殻が割れていく

バサリと親鳥が巣の横に降り立ったが、もう僕のことを攻撃してこなかった
じっと、小さなその目で卵を見続ける

「…よし」

そろそろだと思った瞬間、「ピチチッ」と言う鳴き声と共に一匹が生まれた

それに続いてあとの2つも割れて、小鳥が生まれた

最高の瞬間をねらって、シャッターを切る

「…とれた！やったぁ！」

「ん〜？…わぁ、すっごい上手く取れたね。なんて言うんだろう…こう…」

勝手にカメラを覗き込んだそいつはなにか考えるようにして写真を見つめた

「なに？なにか文句あるの？」

思わず素で話してしまったが、そんな事はどうでもいい。
いや…実際どうでも良くはないんだけど…

今は、もしかしたら写真に文句を付けられるのかと思って、軽く睨んで答えを待つ

「いや、文句なんて付けられないよ。生命力があって、生き生きとしてて…

　 綺麗な写真だね。すごく」

そう言ってどこか朧月を思わせる儚い笑顔を見せた

ふわっとした笑顔で、でもどこか影を思わせる綺麗な笑顔

それに少し驚いて、目を見開く

「さぁ、早く降りないとね！お母さんも子供が生まれたらご飯あげないと！」

そいつは無邪気な笑顔に戻って、僕の袖をクイクイと引っ張る

それで僕は我に返って、カメラを握りしめた

「…お前さ、なんで僕に構うわけ？」

軽やかな音と共に降りたそいつの背中にそう投げかける

「え？なんでって…うーん…」

不思議そうに振り向いて、考える

「…わかんない！」

「なんだよそれ…もしかして僕が可愛いから近づいてきたって魂胆？変態？」

「いや…確かに綺麗な子だなとは思ったけど、別に撮って食ったりなんかしないって。人肉美味しくない」

「は？」

「ん？」

びみょーに会話噛み合ってないんだけど

ていうか“人肉美味しくない”って何！？怖いんだけど！？

「…ぷっ、あははは！」

急に笑いだした。何だこいつ←

でも、その笑顔を見てるうちに何かが柔らかくなった気がした

同じように笑って、少ししたら収まった

「…あ、名前言ってなかったね！僕睡蓮って言うんだ！よろしく！」

「ふーん…」

「ふーんって…そっちの名前は？」

じーっと見つめられて、渋々「…ミツバ」と答えた

「ミツバかぁ、ねぇねぇ友達になってよ！」

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