drama.

Luck しゅーと ページ10

.【 カップル 】










「 しゅーと 」

「 ん？ 」

「 なんかあったでしょ？ 」








彼女は俺の事をよく見てる
俺の行動だったり、雰囲気を見て落ち込んでるとかそんなことまで気づいてくれるほど
ベッドに腰掛ける俺の横に座って顔を覗き込んでくる







「 何も無いよ 」








そんな彼女の優しさにも少し男としての見栄を張りたくて、強がって"大丈夫"と彼女に笑顔を向けると
猫のように目を細めて微笑む君
愛おしくて抱き寄せようとした時








「 はぁ... 」






アラーム音にそれを邪魔され目が覚める
またAの夢
俺が彼女に触れようとすると現実に引き戻される

元々夢を見ることなんてほとんどなかったのに、彼女が持病でこの世を去ってしまってからはほぼ毎日見るようになった
いつも俺を心配していて、優しさをくれて、
夢の中で顔を見る度心が揺れて、引き寄せられるような感覚になる

カーテンも開けず暗い部屋の中携帯を開くとロック画面には愛おしい彼女の笑顔






「 Aがいないと、俺寂しくてどうかなっちゃいそうだよ.. 」







返事を貰えるわけもなく 、俺の零す言葉は儚く消えていく
Aとお揃いで買ったスニーカーを履いて、仕事の前にお墓参り







「 来たよ 」






記念日だったり、お誕生日だったりのタイミングでプレゼントしていたカスミ草を供える






「 わ！カスミ草！可愛い〜 、しゅーとありがとう 」






カスミ草をプレゼントする度子供のように喜んで、
花瓶に入れてはずーっと眺めていたな
お墓に供えたカスミ草がゆらゆらと風に吹かれて揺られると
彼女を抱きしめた時に香る匂いがしたような気がした





「 生まれ変わって来てもいいんだよ、Aだってすぐ気付く自信あるよ、俺 。 」

「 必ずAを幸せにするから 」






Aの好きだったチョコレートのお菓子とレモンティーを置いて







「 今日も仕事頑張ってくるね 」






と、声をかけてその場を後にした









その日の夜、眠る前に彼女の使っていた香水を一吹きして眠る







「 しゅーと 、今日もお疲れ様 。チョコレート美味しかった！さすがしゅーとだね、私の好みわかってるなぁ 」

「 ... あたりまえでしょ、 Aの彼氏なんだから 。」

「 レモンティーのチョイスも最高です 」





なんて、にひひっと笑う

.→←【 リクエスト募集 】 作者より

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す