drama.

ON＆ON ひで ページ15

【 片想い 】






夜20時
昼間に急にLINEでそっちが誘ってきたのにまだ君は来ない

人のいない公園の真ん中にある冷たくなった滑り台に腰を掛ける

この指定席で君と早く話したいのに







「 待たせたね〜 」

「 おせーよ 」






8分遅れたのに悪びれもなくはにかんでる君
そんな笑顔見せられたら許すしかないじゃん







「 ここ来る時自販でジュース買おうとしてオレンジジュース押したらコーラ出てきたの、なんか悔しい！ひでにあげる 」






なんでもない会話だけど俺にとっては幸せな時間

心もとない月灯りは俺たち2人だけを照らしてくれていて、2人だけの世界のように感じる
君とのこの時間が永遠に続けばいいのに

少しの沈黙、視線が絡むとすぐに視線を外されるスマホを握って浮かない顔をする

握ったスマホは君の手から離れなくて
なんかあったのかな、とすぐに察しがつく






「 話してよ、Aのことはなんでも知りたい 」






少し微笑んで頷いて立ち上がる君
ふぅ、と一息つくと白い息が上にあがって儚く消えていく






「 ひで、ブランコ乗ろうよ 」

「 いいね 」







2つ並ぶブランコ
座って、そこまで綺麗には見れない星空を見上げる
泣くのを我慢しているのだって俺は気付いてるんだよ







「 あの人となんかあった？ 」

「 んー、まぁそうだね 」







"あの人"と言うのはAの好きな人
お互い好きな気持ちがあるのにまだ付き合ってないと
不思議な関係を続けている









「 まだ付き合わないんだ 」

「 もう少し待ってて欲しいって言われてるからね。私は何を待たされてんだかわかんないけど 」







俺ならそんな思いさせないのに
俺ならそんな悲しい顔をさせないのに
でも、今の関係が壊れるのが怖くて何も言えないでいる

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