第36話 面白くない ページ8
「僕は素性を明かした。其方も話すのが礼儀だ」
マフィアに礼儀も何もあるのか、と思ったが、
津島さんは私の腰に手を回し、急接近してきた。
「ひゃっ」
『僕は津島A。ダザイ君の将来の彼氏さ』
「か、彼氏?!?!?」
何故彼女ではなく彼氏といった!?!?
「…………彼女の間違いでは」
『僕がダザイ君を引っ張るんだからこれであってるよ』
「そうですか」←
納得しちゃったよこの子←
「ならば、貴様は太宰さんの彼氏であるという事を力で証明してみろ。弱者は道を譲る」
『え、あー……………取りあえず』
津島さんが芥川君に触れた。
撫でるように頭にそっと。
『店内だから、静かにしようか』
そういうと、芥川君が笑った。
そして気づいた。
「(声が、出ない)」
周りの何人かが自分のしていたことに戻っていく。
『小声で話してね』
「っ、貴様の異能か」
芥川君が苦虫を噛んだように嫌そうな顔をした。
「僕の異能、斜陽は語らずだよ。
触れた人を自由に操るのさ」
「………っ、今回は仕事でここにいるわけではないので、引きましょう。太宰さん、津島さん」
銀を引き連れて席を立つ芥川君。
「僕は認めない」
そう津島さんの前で睨みながら言った。
『そう________ボクだって負けないから』
目を光らせて津島さんが答えた。
その光った目の一瞬後に、暗い闇が通り過ぎた。
「………銀」
「はい、お兄ちゃん」
二人が店を出ていくと津島さんがため息をつきながら席に座った。
『ダザイ君の友達は面白い子が多いね』
「面白くないですよ、あの子は」
芥川君の咳の仕方が嫌いなのは、
この人の咳と似ていたから
芥川君にきつく当たっていたのは、
昔苦しめられたこの人に仕返しをしているような気分に、少しだけなっていたからのも少しだけある。
『………さぁ、何か飲もうか』
「そう、ですね」
メニューを開きながら、津島さんを見ると扉の方をじっと見つめていて、まるで芥川君の消えた残像を追っているようで、やっぱり芥川君は面白くない、とメニューを閉じた。
479人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
NamE.薆(プロフ) - 時雨零さん» わかります!太宰さんの心情を書く時は度々お世話になってるんです! (2017年6月3日 10時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - とても楽しみにしています、この小説にとても痛い痛がりたいと言う曲が合ってるなーと思いました (2017年6月3日 7時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 夢さん» 外伝の方にたくさんお願いしますね (2017年6月1日 21時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 続編ありがとうございます(泣) (2017年6月1日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
夢 - わわ、続編出るんですか・・・!せっ、正座待機して待ってます・・・!リクエストはどれにしようか迷いすぎて決められない・・ッ (2017年6月1日 20時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年5月21日 17時