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第44話 耐性 ページ16

「いつ見てもでかいな、この家」





津島さんの家を見ながらまた思った。





「昨日はすみませんでした、探偵社のみんなが困ってるので出社して欲しいです……よし」




リハーサルをした後、玄関を恐る恐る開けた。




鍵は開いていてリビング前の扉の廊下は薄暗かった。リビングでは何やらガヤガヤ聞こえる。




誰かいるのか_________?




「津島さん?」




『っうぁ!ちょ、まって!そっちは行かないでっ!!!』




何やら慌ててる声が聞こえてくる。





「何やってんだこの人は」




とてつもなく嫌な予感がするが、出社願いと仲直りのチャンスを無駄にするわけには行かない。





「入りますよ」




『ちょ、今開けたら……!!!』






突如体に何かが飛び乗ってきた。
そして、私の意識が飛びかけた。






《可愛がってあげてよ》




《痛い?…………ソノ顔なの!!!》





足が痛む。
ズキズキビリビリ………折れそうなほど。





「ワンッ!」






犬が目の前にいる。
牙を見せて、目を爛々と輝かせている。




「っう、ぁ……いや、ぁ、あ゛…い、たい、痛いの、ゃ、ぃや。嫌だ、痛いっ、イタイッ!!」





身体中に痛みが走る感覚がする。
記憶からの信号で、錯覚する。






『ダザイ君!?落ち着いて、ほら、もう大丈夫』




「ぁ、あ、ゃ、いやだ。いや、いや、こわい、くらい、助けて、たすけ、いや、いたい、いたい、暗い、熱い、熱い、痛い、痛い痛い痛い痛い!!!」








見えない、怖い。
暗い、怖い。
声が、怖い。
足が痛む。痛いのは嫌だ。
殴られるのは嫌、噛まれるのも嫌、蹴られるのも嫌。




嫌だ、全部嫌だ。
全部、全部全部全部全部全部
嫌いで怖くて嫌で痛くて熱くて…………







「ごめ、んなさ、ぃ。いや、ごめん、なさい。
ごめんなさい、ごめんなさい」






謝るしか脳のない、そんな私も情けない。





『大丈夫。大丈夫、ボクはもう何もしないから、痛くしない』



「いた、く……しなぃ…………?」



『熱くもないし、暗くもない』




「そう、か、あつく、なぃ」




熱くない、そうだ。
これは錯覚だ。
錯覚、錯覚。


自分を抑えつけると、やっと、平常心を取り戻せた。




足がまだ痛む錯覚があったが、
私はここまで犬が駄目だったか。




敦君とQと会ったときは問題なかった。
でも、この人と再会したせいで、耐性つけてきたものが全部飛んだのだった。

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NamE.薆(プロフ) - 時雨零さん» わかります!太宰さんの心情を書く時は度々お世話になってるんです! (2017年6月3日 10時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - とても楽しみにしています、この小説にとても痛い痛がりたいと言う曲が合ってるなーと思いました (2017年6月3日 7時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 夢さん» 外伝の方にたくさんお願いしますね (2017年6月1日 21時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編ありがとうございます(泣) (2017年6月1日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
- わわ、続編出るんですか・・・!せっ、正座待機して待ってます・・・!リクエストはどれにしようか迷いすぎて決められない・・ッ (2017年6月1日 20時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年5月21日 17時

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