第40話 甘え方は自由だよ ページ12
「太宰さんに会うまで、僕は駄目な奴だって思ってた」
そう、あの時__________________
川辺で死にかけていた僕を太宰さんが見つけてくれた。太宰さんが僕に、服も、職場も、生き方も、全部与えてくれた。
僕に、生きる意味を教えてくれた。
「太宰さんがいなければ、僕は今ここにいないです。もしかしたらマフィアとかになってたかもです」
『っふふ、なんだか想像できないなぁ』
「でも、僕は太宰さんに生き方を教わって、
津島さんは、太宰さんが必要で、
芥川からは尊敬を、国木田さんからは信頼を。
太宰さんは色んな人からの【大切】なんです!」
そうだ。
太宰さんはすごい。
川に飛び込んだり、女性を口説いたり、サボったりする人だけど、
色んなことを気づかせてくれた、
僕にとって大切な人だ。
そして、みんなにとっても。
『大切、か。そうだね、だって、ボクが見込んだ男だもん。偉大な存在にならないわけないもの』
何故か威張って鼻を伸ばす津島さんを見ながら少し笑った。
「そうやって太宰さんのことになると自慢げになるのも、津島さんのいいところだと思いますよ」
『そう?あはは、ありがとう。ボクみたいな人に、ありがと、ね』
少し泣き目になりながら、津島さんがそっと僕に寄ってきた。
『ボク、一人が嫌いなんだよ。
_________でも、不器用だから、わかんない。
人との付き合い方とか、笑い方とか、話し方とか、ボクは、分かんない。
他人から聞こうとしても、聞き方も分かんない。でも理解しようとしたよ。
理解の仕方も、分かってもらえない』
机に涙をこぼしながら、そっと苦痛を嘆いた。
『ただ、ボクの理解の仕方が、あんなやり方しかなかっただけなのに……っ、なんで、なんで僕だけ理解されないの………!!!』
それは人生の叫びで、
顔を真っ赤に染めながら、涙を流して、僕にすがるように話すその姿は、
とても子供のように見えた。
僕の知らない津島さん。
その時に気づいた。
津島さんは、子供なんだ____________
まだ、わからないことだらけで、それでも自分なりに最善を尽くそうと頑張ってる。
でも、誰かに甘えるやり方を、まだ理解してない。
僕だってそう、誰だってそう、
甘え方なんて、自分流だ。
「今日は甘えてください」
『っぅえ?』
「僕だって、仲間なんですよ」
そこで涙が、すっと止まった。
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NamE.薆(プロフ) - 時雨零さん» わかります!太宰さんの心情を書く時は度々お世話になってるんです! (2017年6月3日 10時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - とても楽しみにしています、この小説にとても痛い痛がりたいと言う曲が合ってるなーと思いました (2017年6月3日 7時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 夢さん» 外伝の方にたくさんお願いしますね (2017年6月1日 21時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 続編ありがとうございます(泣) (2017年6月1日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
夢 - わわ、続編出るんですか・・・!せっ、正座待機して待ってます・・・!リクエストはどれにしようか迷いすぎて決められない・・ッ (2017年6月1日 20時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年5月21日 17時