心得7つ目《任務のこと》 ページ9
「そこから机を挟んで向かいにいるのが、小泉八雲くん」
「どうも……よろしく…異能力は、怪談………こえが、きこえます………」
「八雲くんは日本生まれではないから、時々英語使うけど訳してね」
「それよりも日本語をきっちり覚えたらどうだ」
『川端幹部のいうことも分かりますが、他国の言葉を理解し話すのは難しいことです。ゆっくり自分のペースで話してくれて構いませんよ』
「……はい。努力…します」
小泉幹部は目が完全に下を向いている。
右目しか見えておらず、うつむき気味だがほんのり笑う姿は悪くない。目の下の隈と少し銀色がかった髪は見る人によっては不気味と思われても仕方ないと思う。
チラリと私の方を見て怯えるような眼差しをすると席でうずくまってしまった。
「で、太宰くんの隣にいるのが幹部の古株と言われる、永井Aくん」
『異能力は残念ながらありませんが、精一杯やらせてもらっています。これからも末長く、よろしくお願いします』
隣で頭を下げた永井が私をそっと横目で見た。
柔らかな瞳だった。
異能がないのに幹部とは珍しい限りだが古株でしかも前首領からの継続となると実力が衰えていないか心配しである。
「永井君の実力は確かだからね。これからもよろしく頼むよ。それじゃあ、会議を始めるよ」
首領の声で会議は始まった。
内容はどうでもいいようなもので、今後の方針であったり組織内での問題ごとによる1つ1つの対処であったりつまらなかった。
今後の方針なんて変わらないし、
問題ごとなんて小さいことだ。武力の解決より話の解決なんて当たり前。
「じゃあ、会議はこれにて終わりにする。
さぁて、太宰君には今から幹部初任務を与えよう」
首領の前に呼ばれた私の手には一枚の書類があった。最近増えている貧困街への子供の流出についてが書いてあり、そこの子供の調査表に異能力の有無が書いてある。それで大体察した。
「異能力を持つ、またはそれと同等の実力を持つ者を引き入れてこい、と」
「理解が早くて助かるよ。お願いしていいかな?」
疑問形だがそれは建前だ。
行けに等しい疑問など無駄だと言うのに、甘いのか糸を垂らす振りがうまいのか。
永井も呼ばれたということは二人で行けと言うことなのだろう。知ってか知らずか同じか違うか、微笑んで私を見る永井。
なんだか不安だ。
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しぇるふぃあ。 - すみません、「聖バレンタイン日」が「生バレンタイン日」になってます…!小泉幹部すごく好みです、更新応援してます!! (2018年3月21日 12時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃら - 面白いです!頑張って下さい! (2018年3月11日 12時) (レス) id: b7f29ff674 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - かれんさん» 今回の話の題名では、夢主さんが最年長幹部なのでそれをそのまま題名にさせてもらっています!太宰さんは確かに最年少幹部ですけどね! (2018年2月23日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 下のコメントに「最年長幹部では?」とありますが、正しくは「最年少幹部」なのでは?細かいところすみません、お話、最高に面白かったです! (2018年2月23日 21時) (レス) id: bd11a80ca1 (このIDを非表示/違反報告)
hi - 凄く楽しかったですこれからも更新頑張ってください (2018年2月8日 17時) (レス) id: 8a1cd5ab5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2018年1月27日 19時