5、昼前のいざこざ ページ6
「爆豪くん!」
「かっちゃん!!」
何人かの呼び声を無視して繰り出された爆撃。
それを軽やかに机と机の間に入ってかわし、机に手をついて飛び越えると爆轟の後ろに回って首に手を添えた。
「おぉ!」
「……っ、まだだ!!」
爆豪が首に添えてあった手を掴み、振り払おうとすると、器用に机に乗ってそれを回避する。
爆豪が手から爆撃を放つと、真逆の方からそれと同じ爆撃が向かってきた。
「なっ!?」
「福使さんも爆撃を!?!?」
爆撃が互いにぶつかり合い、弾けた。
火花が散る中で、両者は最初の位置へと足をつき、またにらみ合った。
「てめぇ、どういうことだ」
『…貴方の個性を借りた。あと、貴方のも』
「お、俺の??」
急に話に入れられた飯田がわたつきながら首をかしげた。向けられた指に爆豪は珍しく反応せず、じっと真剣に観察している。
敵を観察し確実に仕留めようと企む、鷹の目に似たそれが爆豪にはあった。
福使は飽きたように腕を下ろして背を見せた。
「どこ行きやがる!」
『もう昼だ』
教室を出ようとした福使を止めようと爆豪が振りかぶると、福使がそれを両手で受け止めた。
『言わなきゃわからないのか』
福使が爆豪を強く睨みつけた。
手を振り払うと吐き捨てるように福使が言った。
『下がれ雑魚。私に構うな』
「誰が雑魚だぁぁぁぁ!!!!」
怒りの沸点に達した爆豪が誰彼構わず爆発しようとしている。それをその場のみんなで押さえながら、福使の行く先を見守った。
緑谷は扉を通っていなくなりそうな福使に駆け寄って、待って!と引き止めた。
『…………何』
「えっと、その」
いざ止めて見ても、何かを言うつもりもない。
自然に飛び出した体が、口元が何かを言おうと動く。しかし、言葉は出てこない。
ため息が聞こえて緑谷が顔を上げた。
『ちょうどいい。食堂に行く前に少し用がある。こい』
「えっ、ちょっ、えぇぇえ!?」
意味もわからず腕を引かれる。
そのまま進んで行くのを振り切ることもできず、緑谷は状況を把握できないままズルズルとどこかへ引き込まれて行くのだった。
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時