29、生還 ページ30
入口前。
相澤と13号のボロボロな身体を支え、入口付近にそっと寝かせる。
福使を含めた、入口前待機組は何もできずその場に立ち尽くしていた。
「なぁ、俺らも応戦した方が……」
「だめだ。下手に動いて人質になれば逆に戦いが進まなくなる」
瀬呂に障子が反対する。
蛙吹と峰田は相澤先生を見つめ、麗日は助けを呼びに行った飯田の面影を見つめる。
『…………きた!』
福使が叫んだ。
全員が扉の方を見る。
「敵は何体だ」
銃を構えた顔の見えない男、スナイプが先陣を切りプロヒーローの大群が入り口から溢れるようにぞろぞろと出てきた。
『残り38体!オールマイトの方に向けてください!!』
スナイプがすぐに照準を合わせて一発撃つ。
『次は山岳の、11時の方向に二発!!』
「了解だ!」
スナイプが撃ち、福使が指示を出す。
その連携によって窮地を脱したところは多く、残す敵は30体となった。
「1−Aクラス委員長、飯田天哉!!
ただいま戻りました!!!」
飯田の声が響く。その一声は鶴のように轟き、全員に安心感を与えた。
「相澤……」
プレゼントマイクがそっと呟くと、悲しげな顔をして福使を見た。
(あの子に悲しい顔をさせないって言ったのは、あんただろうが)
舌打ち気味に前に進みでる。
入口の階段前に立って一声、YEAH!!と叫ぶとそれが衝撃波になりヴィランに襲いかかった。
マイクのように広がり莫大な威力を出すそれは敵にはあたり、味方には一切当たっていなかった。
その調節はプロヒーローだからできることだ。
エクトプラズムが分身を連れて前線に向かうと次々とプロヒーローがヴィランの殲滅に向かった。
「生徒は早く避難を!!」
ミッドナイトが呼びかけ、校長たちが誘導する道へ生徒は突き進む。怪我を負った教師たちを支えながら。
『相澤先生……生きてくださいよ』
相澤を支える福使の声は、誰にも聞かれずに溶けて行った。
こうして今回の事件は終わりを告げ、ヴィランの親玉たちはワープで姿を消した。多くの被害と損傷の中、教師も生徒も誰一人として命を失うことはなかった。
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時