22、敵の罠 ページ23
〔視点=福使〕
「おらっ!!」
「死ねぇ!!」
声をあげながらヴィランを蹴散らしていく男子二人に負けず劣らず、私も刀で切り、受け流し時偶に個性を複合して使い、ヴィランの数を減らしていた。
『確実に減ってる、はずなのに』
「どんだけいんだよ!!!」
切島の悲痛な叫びが聞こえる。この状況じゃあ体力が切れて囲い終了がいいところだ。
なるべく手数を減らして多くの敵を消せる個性が欲しいところ。
でも、まずは……
『いったん隠れろ!!』
「あ゛?」
「うおわっ!?」
爆豪と切島の首根っこを引いて敵の死角に入る。距離をとって一時的に避難して作戦を立て直さなくちゃならない。
「んだよ!引っ張んな!!!離せクソ!!」
『今は無理に突っ込まないで。
作戦を立ててから敵を確実に減らさないと体力が切れて終わりだ』
「けほっ、すまん爆豪。個性使いすぎて、ちょっと……」
「チッ弱ぇやつらが。俺がまとめて蹴散らす」
『話を聞け』
切島が軽く咳き込んでいるのを支えながら敵が来ていないかを確認する。
爆豪はなんともないようで汗を拭いているが、私も少し疲れが出てきた。
もう何分戦ったかわかんないが、疲れやすくなっている……。
「けほっ」
『………まずい』
疲れやすい、敵が来ない、死角ができている。咳が出て、倒れかけて体力も切れかけ………
『爆豪……これは』
気づいたことを言おうとした時、ふと壁から手が出てきた。コンクリートの灰色の男の手。それは私の予想通りで体力の切れかけて咳き込んでいた切島を狙っていた。
「!!!」
『切島!!』
弱っている切島の腕を灰色の手が掴む。私と爆豪が手を伸ばすも一瞬遅く、切島は壁の中に飲み込まれた。赤い髪がなくなる瞬間に敵の顔がチラリと見えた。目のない土のような男。
爆豪が壁を爆破するもそこには別の道があっただけで敵の姿はなかった。
『くそ、遅かったか』
「どこ行きやがった、あのクソ髪」
爆豪が手当たり次第に壁を破壊し、倒壊がさらに倒壊していく。ビルは無残な姿になって、崩れそうになりながらなんとかその形を保っていた。
『爆豪、取り敢えず敵から逃げながら』
「どけぇ!!!」
敵を蹴散らして進み始める爆豪に舌打ちをしながらついていく。後先考えずに倒そうとする奴は苛々するんだ。
まるで、昔の私を見てるみたいで。
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時