21、刀剣鬼 ページ22
〔視点=福使〕
目が覚めた時には隣で爆豪が私を面倒臭そうに見ながらため息をついていた。
『っ、なんで……』
起き上がって頭を振るとなんとなく今までのことがわかってくる。ヴィランの攻撃で、多分移動させられたんだと思う。相澤先生のところから私たちのいたところまで普通に移動していたら確実にバレていたから空間を歪ませてワープでもさせる個性だったのだろうと推測できる。
それで、同じ場所に飛ばされたのは二人。
前線にいた切島と爆豪。
二人と共に前線の方向にいた私も同じところに飛ばされたってことか。
という事はあえて分別することはせず、塊のままで飛ばしてきた……?
それなら相手は私たちのことを詳しく知らないのかもしれない。知っているのならこんなに爆豪向きのところに飛ばさせない。水難の方に飛ばすのが効果的だ。
『…………ここはどこ』
「あ?そういやどこだ」
「倒壊ゾーンか?壊れまくって今にも崩れそうだぞ?」
『それならあんまり触らないほうが』
そう言ってる矢先に切島が変なところを押した。すると床がするりと傾き、わずかに壁が剥がれた。
『建物が崩れそうならばあまり派手な行動はしないほうがいい。策を考えてから動くんだ』
「だが、策を考えてる暇もなさそうだぜ」
切島が言ったのでなんとなく思ってはいた。足音もあったからわかってはいた。だが正直戦いたくない。足場が悪い状態では戦いづらいのもあるが……。
『た、高いっ』
窓付近にいる私にとって地面が見えてしまうことはとてもやばい。しかしヴィランは確実に私たちを狙ってきている。
「んだよ、やっぱり餓鬼だな。三人なら俺一人で充分だ!!」
「舐めんなっ!!」
爆豪がヴィランに向けて一発。
ぐらりと揺れる建物。切島がさらに追撃するとあっさりヴィランは倒れた。しかしまだ数が多い。
『わ、私も参戦しよう』
「つっても、お前、誰かの個性複合できんのか?俺の個性はお前にはやらねぇ!!」
『敵のやつ奪う!!』
爆豪より早く私が駆け出す。
腰の右側に差していた刀剣を引き抜いて目の前のヴィランと相対する。
「お前にはなんの思いもねぇが、やらせてもらうぜ!!!!」
単調な右振り。受け流して回避すると左からさらに追撃。しゃがんで回避し刀で左腕を切り落とす。
奇声をあげるヴィランに容赦なく刀を突きつける姿はなんだか僅かに悲しげに見えた。
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時