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2、入学 ページ3

雄英高校。
この世界の人口の約八割が所持する【個性】を生かし、正体不明の未確認生物、ヴィランと戦う職業、ヒーローを育成する名門校。





入学式からもう数日経っている現在。
総勢、20人のヒーロー科、1年A組は少々浮かれ気味で朝を過ごしていた。




「なぁなぁ!今日、遅れて入学生が来るって本当か!?」




黄色い棘ついた頭に雷にも似た黒髪を添えている男子、上鳴が最初にその話題に触れた。





「本当かどうかは分からないけど。
確かに、オールマイト先生は言ってたよ」




緑谷は上鳴と共に教室の入り口で話題を広げていく。先日、午後の授業の終わりと帰りのホームルームに教師がそれを掻い摘んで言ったことを全員が忘れることなく、ひっそりと楽しみにしていたり、どうでもいいと己を突き通したり、各々反応を見せていた。





「本当だ」



「うわっ!相澤先生!!」




上鳴がびっくりしたように飛び上がると、相澤が寝袋に入ったまま死んだ目で何度も確認する生徒に向けて怠そうに首を縦に振った。
相澤は気だるそうな声で、
もう少しでくるからー、座れー、なんてクラス中に通る声で言う。
それを聞いて全員が席に着いた。




期待と不安の入り混じる一瞬を心待ちにして。






「えー、昨日言った通り、新入生を紹介する。
はいれー」





相澤の呼びかけに答えるように、扉から長い足が踏み出された。
ひるがえされた汚れのない白衣、
武士のように凛とした眼差しと黒髪、
やけに真剣そうで、それでいて興味をしてしていないような冷たい表情の女子生徒が相澤の隣に立った。





「うわー、女子かぁ」



「美人ね」



「仲良くなれるかなぁ」




それぞれ声が聞こえてくるのを遮るように女子生徒の口が開かれた。





『福使A、個性は複合。よろしく』





簡単に簡潔に言われた自己紹介は、やけに冷たくそれでいて惹かれるような声で告げられた。




(あれ、どこかで見たような……)



緑谷が何かを考えるように顔を伏せると、 相澤が説明を続けた。





「……ま、こんなやつだ。機会があったら仲良くやってくれ。言っておくが、此奴は基本的に午後の授業は出ない。事情には触れないでほしいとのことだ。あまり深く聞くなよ」





相澤の言葉に、はーい、とのびた返事が返った。
福使は爆豪の後ろ、緑谷の前の席に挨拶もなく座る。





こうして複雑な空気のまま、ホームルーム後半が始まった。

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時

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