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19、ヴィラン ページ20

「一塊になって動くな!!」



相澤の真剣さを含めた声がクラスの者全員に届く。何か異変感じ取った者が数人身構えると、13号に生徒を守るように告げた相澤が異空間の方をにらんだ。それはやがて壁のように広がり、そこからゆっくりと何かが出て来ていた。
よく見るとそれは、相澤のよく見て来たもの______ヴィランだった。



「なんだ、ありゃ?」




切島が異空間に気づき疑問に顔をしかめた。異空間から這い出るようにして、または駆けてくるようにして出てくるヴィランは明らかに自分たち側に進行方向を定めている。
状況を把握し切れていない生徒は、わずかな勘違いをし少し足を踏み出した。




「動くな」



相澤の、怒りの冷静さを含む声が生徒の足を止めさせた。相澤はほんのわずかに迷って、絞り出すようにして呟いた。




「あれは、ヴィランだ」




ようやく事態を把握した多くのものが動揺をあらわにしながら後ずさる。
バカだとあざ笑うものも僅かにいたがその言いようもない空気に軽く尻込みしているのもまた事実だった。



「先生!侵入者用センサーは」



「もちろんありますが」



動揺する生徒に教師。いち早く今後の状況を察した轟がヴィランを冷静に見つめて現場を確認する。




「現れたのはここだけか、学校全体か。
どちらにしろセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうことができる個性がいるってことだ。
校舎と離れた隔離空間。そこにクラスが入る時間割り」



『隔離された空間に生徒と教師がいてしかも敵に狙われやすい餌は、オールマイトしかいない。確実にオールマイト先生を狙って来てる。しかも、弱点である私たちまでついてる時を狙って』




「馬鹿だが阿保じゃねぇ。これはなんらかの目的があった用意周到に画作された奇襲だ」




轟の結論に全員の息が止まる。先生を狙ったヴィランからの奇襲。明らかに自分たちとは違う異質の空気と悪意のそれ。
相澤が13号と上鳴に連絡手段を試すように促す相澤がゴーグルをつけた。なにやら真剣な空気のそれを緑谷は知っていた。
それは、相澤がヒーローとして活躍するときの空気。今の状況でその空気があるということは、答えは一つ。





「一人で戦うんですか!?」




無茶だと止める声を振り切って余裕を見せて敵陣に乗り込む相澤の姿を心配そうに福使は見つめていた。

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時

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