検索窓
今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:1,429 hit

16、バス ページ17

「1ーA集合!!」




飯田の声がホイッスルの高音と共に聞こえてくる。全員が着替え終わり、外に待機していたバスに乗り込んだ。
長椅子が二つ。
半分より後ろは二人用の椅子が並ぶ形のバスは飯田の予想外だったようで、がっくりうなだれていた。




「福使さんも、女子なんだから座「そーだよ!座っていいよー?」



青山の声にかぶせて芦戸が福使に座るように促した。しかし福使はちらりとそちらを見ただけで何も答えなかった。




「何なら俺が席貸すぜ?」




『…………いい。座ってると何かあった時に対処が遅れる』




何かあった時。
その言葉に引っかかりを覚えた何人かが福使を見た。片耳にイヤホンをつけて、常に刀に触れている。ピリピリとした空気がその場だけに漂っているのがわかった。




「私、思ってることをなんでも言っちゃうの」




そんな空気を破るような言葉が、緑谷の隣から聞こえて来た。蛙吹がケロケロと笑った。
こんなふうに空気を変えられるのが彼女の強みであり、魅力であった。
緑谷が蛙吹の対応に困っているのを何人かが微笑みかけて見つめる。




「貴方の個性、オールマイトに似てる」




オールマイト。
そう聞いて反応したのは二人だった。
福使が片耳のイヤホンを外し、緑谷は激しく動揺した。





「えっ、そ、そうかな…?いやでも、僕は……えっと、その……」





言い訳が見つからないように言葉を漏らす。
切島がケラケラと笑いながら、オールマイトは怪我しねぇだろ?、と言うと他人の空似もあるのかとバス内のほとんどが思った。
確かに類似した個性はある。
個性がかぶることだってあるだろう。


「ほっ」


「しっかし増強型のシンプルな個性はいいな。派手でできることが多い」



羨ましそうに切島が言うと、自分の手を硬化させてみせた。



「俺の硬化は対人じゃあ強ぇけど、いかんせん地味なんだよな」



『地味でも硬化することで防げる事故もある。
体を硬くし、物理的ダメージを減らすこともできるから攻防一体と言ってもいい。
使い方によってはいい個性だと思うぞ』



「そうだよ!僕はすごいかっこいいと思う!!プロにも通用する個性だよ!」




切島が照れ臭そうに一瞬笑うと、でもなぁ、と言った。人気商売も兼ねているヒーローはやはり見た目だって重視したほうがいい。
かっこよく、または可愛く、人々を守れるヒーローは売れている条件の一つであるからだ。

17、個性→←15、かっこいい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。