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13、嫌な予感 ページ14

『今回の件、まだある気がする』





不安げにしかし強い確信を持った瞳を向けて、福使が相澤に告げた。
相澤は変わらずに頭を描くと、死んだ魚の眼で告げ言に質問を返した。




「………というと?」




『宣戦布告をするような戦意のある奴が、これだけで終わるはずがない。もしかしたら乗り込んでくるかも』




「その可能性は低いだろ。ここのセンサーを何だと思ってやがる」




『センサーは万能じゃない。妨害系統の個性所持者がいればすぐに突破される。
それに今日はあの人も休みなんでしょう?
何かあったら貴方だけで守れるの』




やけにピリピリした空気の漂う校門前。
相澤と福使は冷たい眼差しを互いに向けたまま何秒か沈黙した。





「守ってみせるさ」





その強い使命感の声。
守らなくてはならないと言いたげなその雰囲気を感じ取ったのか、福使は作ったように笑ってから相澤の横を通り過ぎた。





『今度はちゃんと守ってよ。父さん』





そんな言葉を去り際に残して。





「……ふぅ。誰が父さんだ」



相澤が面倒臭そうに目を擦った。
そして、お前の父さんになんてなれるものか、と心の中で呟いて苦虫を噛み潰したような苦い顔をした。





「えっと、校長先生、これは」




「…………聞いてもいいなら聞かせてもらっていいかい?校長先生」




ミッドナイトとリカバリーガールが疑問にしたことは同じだった。
校長にそっと目配せをして、一度の瞬きによる承諾を得てから話し始めた。





「彼女は、福使A。ヒーロー、ノイズプレッサーの娘にして、相澤先生の寄宿者、つまりは隠し子的存在さ」




「か、隠し子!?!?」




「実際に隠し子なわけじゃないよ。
ノイズプレッサーと個人的な仲を持っていた相澤先生が親戚のいないあの子を拾って自分の家に置いたのさ。だから福使君にとって相澤君はお父さんみたいなものなんだよ」





校長先生が思いふけるようにして空を見た。
相澤は逆に地を見た。
ミッドナイト達は視線を泳がせて俯いた。
福使にそれが聞こえていたのかは定かではないが確かに彼女は悲しげに顔を歪ませていた。






「…………もう、三年になるの「あー、授業の準備してねー。ってことで行ってきます」




校長がポソリと呟いたそれに相澤が被せるように言い残して逃げるようにそそくさと立ち去った。
残された三人は、吹いた風と舞い上がった木の葉を見て、嫌な予感に胸を焼かせていた。

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時

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