1、出会い ページ2
〔視点=緑谷〕
入学式の日の朝、
とある一人の女の子を助けた。
助けたと言ってもヴィランと争ったわけではなく、転びそうになったのを支えて、自販機で飲み物を買ってあげただけなのだけれど。
『あの、ありがとうございました!』
深々と頭を下げる女の子に対して僕はあんまり話せない。
長い黒髪、赤い縁のある眼鏡をかけた柔らかい雰囲気の女の子。
こんなに綺麗な人と話したことなんてないし、何より女子と会話することなんてなかったから。
「い、いいいいいや!!
全然!だだだ大丈夫だよ!!」
『このお礼は、必ずいたします』
真剣な顔で言った後、溶けるように笑った彼女の姿がやけに綺麗に見えて、思わず俯いた。
綺麗。こんな人と僕は話をしているのか。
『あの』
「ななななな何でしょう!?」
『急いでいたんじゃないですか?』
そういえば、今日は入学式………
「あああああぁぁぁぁぁ!!!!」
『!?!?』
思い切り立ち上がって急いで駆け出す。
突然後ろから声がかかった。
『あの!!』
「何ですか?」
『お名前を!!』
足踏みしながら、女の子に片手を振った。
「緑谷!緑谷出久です!!!」
それだけ行って駆け出す。
僕が入学する雄英高校に向かって。
『緑谷くん、か』
後ろで女の子がそっと僕の名を復唱して、微笑んだ。
これは、この時僕が助けた女の子が
奇妙な部活動をし始めるまでの話だ。
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年11月25日 21時