四人目「猫耳フードって僕が着るやつなの?」 ページ5
探偵社を少し先に降ってすぐの駄菓子屋さん。
今日はハロウィンのお菓子がたくさん並んでいる。
其処に見えたモゴモゴした物体。
猫の耳がピンッとたったフードをかぶって何かをつまんでいる。
『乱歩さん?』
うまい棒を口の中に入れたままのその人は探偵社の要である乱歩さん。
「むごむごっ、違うよ。僕は黒猫さ」
『そうなんですか?』
「で、君何か用?」
『ハロウィンなのでお菓子をあげにきました』
そういうと急に立ち上がって私の手を握って、
早く早くと言わんばかりに飛び跳ねた。
「早く!お菓子くれるんでしょ!!!」
『待ってくださいよ』
乱歩さんが落ち着いて、何歩かさがって棒付きの飴を片手に大きな声で言った。
「トリックオアトリート!!!
早く、お菓子をちょうだいよ!」
イタズラする気は無いようでお菓子だけを求めてる。構えている乱歩さんの手に渦巻き型の大きな飴を差し出した。
「うわぁぁ!!僕の好きなやつじゃん!いやーいやーありがとう!!Aは僕の天使だね!」
『天使だなんて大げさな』
「天使だよ」
乱歩さんが私のあげた飴をポケットに隠して、猫耳を揺らしながら、そっと目を開けた。
翡翠色の瞳が怪しげに光る。
「Aは可愛い天使だよ。ずっと前からね」
『えっ………うわっ』
腕にしがみつくように抱きつかれる。
見た目よりも体はやはり男で、顔に熱が集まる。
それを見ると面白そうにけらけら笑いだした。
「面白いなぁ全く。本当、面白いなぁ」
なぜか思いふけるように暗い夜空を見上げ始めてしまった乱歩さんをそっと下から覗き込む。
翡翠色の瞳に悲しみが過ぎれば、私もなんだか悲しくなる。
「母様と父様が死んでから周りが怖いものだらけだった。自分が理解されないんだよ。今はみんながいるけど、また周りから理解されなくなったらって思うと、すごく怖いんだよ」
涙を浮かべる乱歩さんの肩に手を置いて目線を合わせる。
『乱歩さんの凄さはみんながわかってます。
私も、探偵社のみんなも、この街の警察も、みんなが乱歩さんの良さも凄さも知ってます。絶対、一人じゃないです』
そう言うと、乱歩さんが恥ずかしそうに私を突き放した。
「次は、血濡れのナース」
そう言い残すとスタスタと駆けて行ってしまった。私の手には、一つの可愛らしい飴玉が残っていた。
五人目「おやぁ?私にやられにきたのかい?」→←三人目「吸血鬼になるのに何故髪を上げる必要がある」
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赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - NamE.薆さん» マジっすか!全裸待機しときます。 (2017年12月29日 22時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» 新双黒の方も近々出します!! (2017年12月29日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - 太宰さんが!!ヤバス!! (2017年12月29日 20時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 最後は綺麗なピタゴラスイッチ← (2017年12月25日 15時) (レス) id: 5a56e3c42b (このIDを非表示/違反報告)
やぬっちゃん(プロフ) - ありがとうございます!大満足です!敦君可愛い!やり直し前も好きです! (2017年12月17日 23時) (レス) id: b3f470051e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年10月20日 23時