6.忌み嫌う者、願う者 ページ26
牢屋の中。
少年にも許されたことが一つだけあった。それは、ハロウィンを楽しむ事!
「おねーさん!トリックオアトリート!」
私の目の前で頭に札をつけた中華風の服装をしたQちゃんが手を広げた。
小さなその手にお菓子を何個か持たせてあげるとQちゃんは嬉しそうに笑った。
「黒砂糖だ!僕これ大好き!!ありがとー、Aお姉ちゃん!!」
その眩しい笑顔が一瞬でもあって良かったって思う。昔は暗い顔ばっかりで、笑うなんて全然なかった。狂気的な悲しい笑みは、もう見たくなかった。
「お姉ちゃん、いつもありがとう。
時々僕に会いに来てくれるし、話も聞いてくれるし、ぎゅーってしてくれるし、僕、お姉ちゃんがいればもう何にもいらないよ」
Qちゃんが怪しい目をする。
嗚呼、狂気が目を覚ます。
それに恐怖していたのも本当、逃げたかったのも本当。だけど、ここで逃げたら、怖がってそのままにしたら、この子は愛を知らないまま一生を過ごしてしまうかもしれない。
自分はだめなんだと思いながら死を願うかもしれない。それって、分からないけど、きっと辛い事だ。
『そんなこと言わないの。
私以外はいらないって言ってくれるのは嬉しいけど、世界との交流を絶ったらだめ。絶対に。
周りを知らなければ自分も知ることができない。私は、大人になって、いろんな人とお話しして笑ってる久作が見たいの。
だから、もうそんなこと言わないで?』
Qちゃんがなんだか悲しそうにうなづいて黒砂糖を一つ放り込んだ。
Qちゃんの着てる、キョンシーの仮装。
札を剥がせば力が湧き出て、人を襲う。
まるでQちゃんの力みたい。
『ねぇQちゃん』
「なに?」
『また明日も来るよ。そしたら楽しいことして遊ぼう!いっぱい、ね?』
そう言うとQちゃんは、嬉しそうに笑って私に手を振った。
「また明日ね!おねーちゃん!!」
その笑顔を見て、なんだか私も頑張らなきゃって思えて来た。立ち上がって、今日も仕事に向かう。
明日、あの子に会えるのを楽しみにしながら。
ーーーーーーーーーー
くれーぷ/紅華 様からのリクエスト
【ハロウィンQちゃん】
でした!
うーん、キョンシーにして見ましたが案外似合ってるかもです。
あえて中華にしたのは今日の夕飯が中華だったからです。
なんて、どうでもいいですよね。
可愛くかけてれは嬉しいです!
では、次に参ります。
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赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - NamE.薆さん» マジっすか!全裸待機しときます。 (2017年12月29日 22時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» 新双黒の方も近々出します!! (2017年12月29日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - 太宰さんが!!ヤバス!! (2017年12月29日 20時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 最後は綺麗なピタゴラスイッチ← (2017年12月25日 15時) (レス) id: 5a56e3c42b (このIDを非表示/違反報告)
やぬっちゃん(プロフ) - ありがとうございます!大満足です!敦君可愛い!やり直し前も好きです! (2017年12月17日 23時) (レス) id: b3f470051e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年10月20日 23時