検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:7,690 hit

第肆話 ビビリメガネ ページ6

四階、武装探偵社。
其処にあいさつしにいった、はずだ。




(挨拶しに行っただけのはずなのに)





部屋に入って最初に目に付いたのは、黒い黒いモノ。其れはとある男の首先に絡みついており、首の辺りを軽くガジガジ噛んでいる。





『また、妖怪』




行く所の先々にいるような気がしてならない。
ちょうどその男が近づいてきたためそのまま受け止める。




首筋についたモノが私の気配に気づいて此方を向いた。悲鳴と共に、モノが、私と目を合わせた。





合わせてしまった。





『此奴から離れなきゃ______食うぞ』




低い、ドスの効いた声を心がけて出してみると、意外にうまく行った。
モノはそろそろと足早に出て行った。
そして、拳を入れたふりをして、気を失った男を支えた。





にしても、この男





『似てる』





私と先程までいたやつにそっくりだった。
まるで瓜二つだ。
でも、彼奴より面倒臭そうだなぁ。




「ご協力、感謝します。宜しかったら茶を出しますが」




『あ、お願いしてもいいですか?私もあなたがたに用がありまして』




挨拶がてらに持ってきた菓子と、割引券をそれぞれ渡した。




「バー、桃源郷?」



『はい。私、其処のオーナーをしております、京極、と申します』




「中島、敦です!」



「探偵社員、国木田独歩と申します。
所で、一つお伺いしても?」




私にお応えできることならば、と言うと
国木田と名乗った男が私を睨んだ。




「その、貴女の後ろにいるのは、何者ですか」



『後ろ?』




振り向くと、「ばあ!」と言う声がした。少し驚愕して後ずさる。
声の主はもう分かっているのだけど改めて姿を見た。
? 私には姿が見える。此奴はさっきのモノと同じように、人ならざるモノだ。
なら、なぜ国木田さんに、見えた?





『………オサム!?』




「うえっ!?なになに?」




オサム________私のBARで休眠していたはずの桃好き男________を引きずって、角に寄せた。
小声で話しをしながら、軽く拳骨を与える。




「いったぁー!」



『なんであの男に見えてるの!?』



「見えてる………嗚呼、彼か」




オサムが納得したように頭を振った。
え、どゆこと。




「彼はね、私達の事が見える体質なのさ。
まぁ、多分、彼、すんごくビビリだね」



『嗚呼、そう言う事』




私も納得した。

第伍話 似る顔が二つ→←第参話 挨拶がてら



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年8月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。