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六発目 ページ8

私の糸は、頑丈な作りになっている。
私が異能を使用する時の用途は大きく分けて二つ。【攻】か【防】
偶に、騙し技や奇襲に使うが、今回は完全に攻撃型。




部下の誰かが、銃で発砲した。
他の角度からも次々と銃弾が迫ってくる。





本来、私の異能は、複数の用途で使用することはできない。と言うよりも、出来るが、しない。
私の体への負担が強いうえに、正直、長期戦には向かないからだ。
しかし、今回は、最後かもしれない。
なら、使ってもいいだろう。





『蜘蛛の糸________罪人の欲』





呟けば、色の違う糸が私の体が吐き出された。そして、その糸が部下の発砲した銃弾に絡みつき、勢いを殺す。落下する銃弾の音。それと同時に、私の糸が部下数人の首に絡みついた。




「重力操作」



部下に触れ、そっと唱える。
彼も異能を使ったのだと知るのに時間はかからなかった。部下の体に絡みついていた糸が重力の重みで千切れていく。
彼の怒りは、最早頂点に達しようとしていた。






部下を退けて、私の首を掴んだ。
薄暗い部屋の中で、私は少し、幸せを感じた。






『っ、はは………も……おわ、り……』






そう、いつも通り笑うと、彼はふと変に嫌そうな顔をして私の首から手を離した。
咳き込みながら彼を見れば、なんだろう、なんと言うか、誰かを思い出している瞳をしていた。





「ケッ、お前は捕虜として連れていく。ボスの野郎を追うのは今度にしといてやるよ」




私をずるずると引きずりながら、アジトを後にしていく。私としては、作戦成功で死ぬのがいいのだろう、と思っていたから、すかさず、自分の首に糸を、そっと絡ませた。





「なぁ、お前」





私を引きずりながら、彼が聞いた。
もう、アジトが遠い。
彼がおい、とまた強く引くので、聞いてますよ、と軽く返した。
彼からの質問は恐らく、この組織の情報。
または、私の異能の情報。
リーダーの居場所か、取引先の話か。
何れにしろ、話す前に死ぬとしよう。




「お前………最初に誰、殺した」




意外な質問に、糸を引こうとした手が止まった。
最初に、誰を殺したか……なんて。




『聞いて、何になるの……』



「いいから答えろ」




威圧に押され、ぼそりと呟いた。





『お父さん』





私が初めて異能を使い、初めて殺した人。
資産家の父を殺し、母に裏社会に売られた。
それからいくつもの組織を回って、



ここにたどり着いた。

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遥香 - 面白いです!頑張って更新してくださいね!ずっと待ってますんで☆ (2017年9月6日 21時) (レス) id: 7ef9178f07 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 晋陽さん» 頑張りますっ! (2017年8月31日 20時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きが気になります!更新頑張って下さい! (2017年8月31日 17時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 滓跂さん» 頑張ります!! (2017年8月15日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - とっても面白いです!続き、待ってますね! (2017年8月15日 20時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年8月15日 16時

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