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「──────もしもし....じゅんくん?」

「あぁ、Aさん。どうしたの?今日は結婚記念日だから会えないって言ってたじゃん。」

今にも壊れてしまいそうな、繊細で儚い声が右耳から脳髄を駆け抜ける。
貴方の声を聞くと、いつも泣きそうになってしまう。


「っ実はね...旦那さん、浮気してたみたい。」

改めて口に出すと、私の心が冷えきったのを感じた。

「...なんで?」

「彼、私には遠くに出張、なんて嘘ついてるけど、本当は女の子に会いに行ってるみたい。結婚記念日も忘れちゃうくらい、好きなんでしょうね。...あはは、面倒臭い女よね、私。自分だって浮気してるのに、同じことされたらこんなにショック受けるなんて。ほんと、やんなっちゃうな....」

私の手に置かれた、彼が嵌めているはずの指輪を見つめる。

「...なぁ、やっぱりさ、俺に」
「っそれは出来ないの、ごめん...ごめんね」

何度も言われた「俺にしなよ」の言葉を遮る。


ダメなの、ここでじゅんくんに堕ちてしまったら、もう絶対に後戻り出来ない。


「じゃあ...今から行ってもいい?」

「...うん」

「旦那さん、帰って来ないよね?」

「うん」

「分かった。待ってて」

電話が切れた。

彼のことだから、きっと大急ぎで来てくれるんだろうな。


私がじゅんくんのことを、ただそういうコトをするだけの関係だと思っていても、彼はそれも全部引っ括めて私を愛してくれる。
ただ寂しさを埋めるためだけに、そういうコトをする。
それを全部分かった上で、会いに来てくれる。
私には勿体ないくらい、優しい優しい男の子。

じゅんくんと会うと、昔感じた胸の高鳴りや、純粋だった頃の気持ちを思い出す。


一人暮らしの大学生ってこと。名前は岡田准一って言うこと。

それくらいしか知らないけど、それでも本気で好きになってしまいそうになる。
でも、それは絶対に出来ない。
私には、彼と別れられない理由がある。

旦那に嘘をつき、自分の気持ちにブレーキを掛けながらじゅんくんと会い、行為をする。

それだけで、十分幸せなはずだった。



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3→←(黄)蓋をしていても。



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設定タグ:V6 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ミナミ(プロフ) - みるくプリンさん» コメントありがとうございます!励みになります(〃´o`) (2023年2月5日 18時) (レス) id: 858a3e2b9b (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - いのっち優しい、癒される(*´艸`)続きが楽しみです、更新頑張って下さいね✨ (2023年2月5日 0時) (レス) id: 49fc610c53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミナミ | 作成日時:2023年1月28日 10時

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