26話 旗回収 ページ27
「おー、なかなか綺麗な街だねー。」
都会と田舎の中間で住みやすそうな街。
これが今回任務にあたる街だった。
道には花が咲き、とても春らしい風景。
こんな綺麗な街で鬼が出現し、平和を乱してるなんて考えられないなあと思う。
まあでも困っている人がいるのも、町娘が消えているのも事実なわけで、とりあえず任務を遂行しようと聞き込みから始める。
「この街で人攫いが頻発していると聞いたのですが、詳細をご存知でしたら教えていただけると助かります。」
そう聞くと、村のおじさんは少し戸惑いながら口をボソボソと開く。
「…それがな、攫われた村人は全員戸籍がないやつばかりでな。
しかし怖くて眠りにも付けん。早く捕まるといいのだが。」
「戸籍がない、ですか。ありがとうございます。」
なぜ鬼は戸籍のない村人だけを狙うのだろう。
単なる偶然なのだろうか。
それとも身元不詳なら食ってもバレねえや程度に思ってるのだろうか。その辺は定かではないが。
うーんうーんと唸ってるあいだ、伊之助はずっと犬と追いかけっこをしていた。
任務くらいちゃんとやって欲しいけどね!!
.
.
夜。
そう、鬼が活発になる時間帯。
何があってもいいように、周囲への警戒は怠らない。
伊之助は街の南を、私は北を見回りしているがこれと言っておかしなことも無い。
まあ鬼も毎日食事をとる訳では無いだろうし、長期戦になることを予想しながらぐるぐる回っていると。
明らかに怪しい女の影が見えるのだ。
そう、女は着物を片手にスキップで街を歩く。
その光景は異様なもので、明らかに人外だと思わざるを得ないものであった。
伊之助に知らせなきゃ、とも思ったが担当してるのが真反対なだけあり、迅速な対応をした方がいいのではと個人の判断で鬼を退治する方向で行こうとした。
後ろから静かに近づき、鞘に手をかける。
その様子に気づいたのか、女はこちらを見つめ、けたけたと笑う。
それはまるで不気味な幽霊のようであった。
一通り笑い終えた女は、着物_____正確には羽織をまとい、その鋭い牙をむき出しに突進してきた。
「猪突猛進〜って、伊之助じゃないんだからさ。」
真上に交わし、背後を取る。
綺麗に頸を刀で狩りとり、着地。
初任務の割に簡単だったな、と刀についた血を空中に振りまく。
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ナルシスト - とても面白くていい小説ですね!これからも頑張ってください! (2020年4月17日 14時) (レス) id: 9f29b33a37 (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです。この感じだとオチは神威なのでしょうか?神威だととても嬉しいのですが、、、楽しみに更新を待っています。 (2020年2月16日 11時) (レス) id: 8f6ad57d8f (このIDを非表示/違反報告)
4o(プロフ) - 妖精・ナルルさん» ありがとうございます!これからも少しずつ更新しますのでよろしくお願いします( . .)" (2020年2月7日 2時) (レス) id: 14a215dd40 (このIDを非表示/違反報告)
妖精・ナルル - 面白いです! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 428de63203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4o | 作成日時:2020年1月31日 4時