最悪の呪詛師は雑談に興ず (ページ5)

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3つの力についてページ5

んじゃ、霊力と呪力、そして妖力の違いと行こうか。

まあ呪力は説明するまでも無いだろう。人の負の感情によって成されている。

そして呪霊が人の負の感情から力を得るように、霊的なものは大衆の信仰が存在に大きく関わる。
例えば神様が分かりやすいね。人がそういう存在を信じることによって存在している。

幽霊を信じるやつが居るから幽霊が居るってことだよ。

ちなみに霊的なものは何も幽霊その他に限らない。私の式神の一部に「神獣」「霊獣」と言われる類のものがいるがそいつらも霊力を主としている。

あとは地獄や天国、黄泉の国なんかも人が信じることによって存在する異界だ。
私のような陰陽師はまとめて霊界って呼んでる。

じゃあ、ここで一つ。人の負の感情の結晶である「呪霊」と人の負の感情によって生まれる「怨霊」の違いだ。

発生の仕方は正直大差ない。主な違いは3つ。

1. 仮に人間が世界から居なくなった場合存在できるか
2. 全くの同一個体が再発生するか
3. 自然消滅するか

先に言ったように霊体は「人による信仰」が関わる。つまり信じる人間が居なくなれば存在できないし自然消滅するなな。
もちろん人間という人種ごと滅ばなくても元となった伝承なり何なりを知る人が居なくなれば消える。

ただ霊体って言うのは厄介でね。仮に忘れ去られたヤツらでも誰かが再度認知――例えば古い文献によって――した場合、同一個体が再発生する事がある。

呪霊に関しては祓わねば消えないし全くの同一個体が生まれることは無いよ。元が同じでも発生する呪霊は別だ。

次、妖力。これは人が「認識」することで生まれる。
霊と混同しやすいが全く別物だ。

例えば、そこに何かがいるとなんの根拠もないし見えないが確信を持ったとする。
それが妖魔の類を形成するわけだ。

「居るから認識した」ではなく「認識したから居る」という因果の逆転関係があったりするね。

そうだ、呪霊と妖魔に同名のやつが居たりするよね。馴染みがありそうな所で言うと「玉藻前」や「口裂け女」は呪霊と妖で同名の存在があるな。

あれは妖怪への恐怖が積もって呪霊と化したケース、もしくは多数の人間が呪霊の気配を悟ったケースによって起こる。

そして同名の霊体と妖は妖魔が信仰対象になった、あるいは信仰対象が「そこにいる」と強く信じられた場合だね。
前者はともかく後者は様々なものに神が宿るとか考える日本ならではの話だ。