でこぼこ家族 (ページ8)

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先生との出逢いページ8

過去に戻ります。

お父さんの脳腫瘍は、治療をしているけど、あまり良い状態とは言えないらしい。

入院しているお父さんのところに、着替えを持っていくたびに、弱っていくのが分かるほどだった。

今日はそんなお父さんのお見舞いの日。

「おはよー。今日は土曜日だから、みんな連れてきたよ。」

「お父さーん！久しぶり！」

「みんな、元気だったか？」

「うん！たかたち、これからでっかい滑り台がある公園にいくの！」

「そうか、良かったな。」

「洗濯するもの、これで全部？」

「いつもごめんな。」

「謝んないでよ。
そうそう。お母さんは、順調みたいだよ？」

「そうか。よかった。
いやー、産まれてくるの、楽しみだな！あと3ヵ月くらいか？」

「そうだね。」

「しげ、おにーちゃんになるんだよ！」

「そうだなー楽しみか？」

「うん！いっぱいおせわしてあげるの！」

こんなことを言ってるけど、たぶんお父さんも気づいている。

このままいくと、自分の命は3ヶ月持たないって。

お父さんの脳腫瘍は、進行がすごく速いらしい。

みんなは久々に、親子の時間を楽しんでいた。

「じゃあ、そろそろ公園に行こっか！
お父さんのところは、また来週こようね。」

「うん！ばいばい！」

いつもはもっと一緒にいたいとグズる3人も、今日は公園に行くということで、すんなりと笑顔でお父さんとお別れができた。

「ばいばい。お姉ちゃんのいうこと、よく聞くんだぞ。
A、みんなのこと、頼むぞ。」

それが公園にいくことに対してなのか、これからの生活に対してなのかは、怖くて聞けなかった。

「ただいまー。」

「おかえり。」

公園から帰ると、お母さんが浮かない顔をしていた。

「どうしたの？なにかあった？」

「ちょっと、お腹張ってるような気がして。」

「いまから病院いこ。バイト先には、今日は休むっていっとくから。」

慶ちゃんたちにはお留守番をしてもらい、急いで病院へ向かった。

結果は切迫早産。

しばらく絶対安静で入院が必要になった。

お母さんを病院に置いて、一度家に帰り、入院の支度をしてから、慶ちゃんたちをつれて病院へ向かった。

お母さんに入院の道具を届けた、帰りのことだった。

一気に視界が歪んで、目の前が真っ暗になったのは。

慶ちゃんたちの泣き声がだんだん薄れていき、私は意識を手放した。