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「ぎゃーっ!!」
薬液が入れられるのとともに、つんざくような祐くんの泣き声が大きくなる。
「がんばれがんばれーあとちょっと……
っはい、おわり!頑張りました。」
「祐也ー、頑張ったなー。」
「祐くん、おりこうさんだったね!」
みんなから褒めてもらって、頭を撫でてもらって、だんだんと涙が収まってきた祐くんが、ようやく口を開いた。
「ッヒク…ぃたかったっ!だっこ!」
そして、なぜかさっきまでメソメソしてたのが嘘みたいに怒りだした。
「山下先生に抱っこしてもらってるじゃん。」
「ねーちゃんがいいの!」
「うわー、祐也にフラれちゃった笑」
そういって笑っている山下先生から祐くんを預かり、抱っこする。
この世に、ピタッとひっついてきてくれる祐くんより可愛いいものはないだろう。
あ、上の三人が可愛くないって訳じゃないんだよ?
それに最近、祐くん山下先生にべったりだったから、余計に可愛さが増してみえる。
いいんだけどさ?別に。仲良しだってことは…
ただちょっと寂しいだけ!
「祐くーん。がんばったねー。カッコよかったよ!」
「んふふ」
祐くんは、カッコイイと言われるのが大好きだ。
とても満足げな顔をしている。
「やっぱりお姉ちゃんは特別か。
もう全部終わりだけど、今日1日は気をつけて様子を見ててね。
山下くんはこの後も一緒にいるの?」
「はい。Aの家でゆっくりするつもりでしたけど。」
「そっか。なら安心だね。
お疲れ様でした。みんな、ばいばい!」
「ありがとうございました。」
「先生、ありがと!またね!」
たか、「また」は、ないほうがいいよ
国分先生に会うってことは具合が悪くなるってことだからね。
みんな国分先生に挨拶してるけど、祐くんだけは注射をされた怨みからか、無視を貫く。
「ほら、祐くん。国分先生にバイバイとありがとうは?」
「だって こくぶんせんせー いたいことするもん!」
「俺も嫌われちゃったなー笑」
「でも、国分先生のおかげで、祐くん元気でいれるんだよ?」
「……ありがと。ばいばい」
しばらく考えたあと、ちゃんとお礼と挨拶をした。
「はい。よくできました。」
「お姉ちゃん、厳しいねー」
「そんなことないですよ!」
ただ、将来のことを考えて、挨拶とお礼だけはちゃんと言えるようにしたい。
それってすごく大事なことだから。
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作者名:ぽん | 作成日時:2017年5月22日 16時