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「だれからはじめる？」
「じゃんけんでいいんじゃないですか？」
ババ抜きを始めることになったはいいものの、気まずさは拭いきれず、山下先生、正喜さん、私の間にはおかしな空気が流れている。
「ただいまー。」
そんな状態を助けてくれたのは、やっと帰ってきてくれた沙耶さんだった。
「母さん、おかえり。」
「ただいま。ごめんね、遅くなって。
Aちゃん、ひさしぶり。
慶一郎くんも貴久くんも成亮くんも、みんなおっきくなったわねー。」
沙耶さんには、私がどうしても弟たちの面倒をみれないときに、ときどき預かってもらっていた。
「おばちゃん！ひさしぶり！」
「あれ？祐也くんは？」
「午前中にアスレチックに連れていったら疲れちゃったみたいで、隣の部屋で寝かせてます。」
「あら、そうなの。
祐也くんも元気にしてる？」
「まあ、ぼちぼちですね。」
「そういえば、正喜さんとは初対面かしら？
正喜さん、やっと今年度から単身赴任から帰ってきたところだから。」
「はい。というか、すみません。
いきなりこんな大人数で押しかけちゃって。」
「いいのよ。智久から理由は聞いたわ。
どうせAちゃんのことだから、お家に帰っても無理しちゃうでしょ。
今日は家でゆっくりしていって。」
みんなして無理する無理するって、私はそんなキャラなのか？
「ありがとうございます。」
「夕飯、なんにするの？」
「エビフライ。みんな好きでしょ？」
「やったー！」
「たか、エビフライ大好きなの！」
「ひさしぶりだなー。
ねーちゃん、お家で作ってくれないんだもん。」
「揚げ物はめんどくさいの！」
「ズボラ？」
「うるさいなー。」
別に、私だってあなたたちが途中で私のことを呼ばずにおとなしく待っていてくれれば、揚げ物の１つや2つできますよ！
いつ呼ばれるか分からないから、目を離せない揚げ物はやらないだけですー。
後片付けが面倒くさいってのもないわけじゃないけど……
「ははっ笑 まあ、大変だよね。」
なんで山下先生まで笑うの？！
「私も手伝いますよ。」
「いいの。今日はお客さまなんだから、座ってて。
今日、熱中症で点滴してもらったばかりなんでしょ？ゆっくり休んでて。」
「そうしなよ。母さんが作っているうちに、ちゃちゃっと診察するから。」
「全力で料理を手伝わさせて頂きます。」
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作者名：ぽん | 作成日時：2017年5月22日 16時
