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「ねー、なんで今日は学校休んでお父さんとお母さんのところに行くの？」
慶ちゃんが不思議そうに聞いてくる。
そりゃ、おかしいと思うよね。
「みんな、よく聞いて。
お父さんね、これから悪い病気を治すために、ちょっと大変なお薬を使うの。
今日会ったら、もうお父さんには会えないかもしれない。
だから、話したいこと、やりたいこと、全部今日やっちゃおう！」
「うん！」
みんな、分かってくれたかな……
病院について、お父さんの部屋にいく。
「お父さーん！」
「おお。みんな。よく来たな。」
「お父さん、病気なんかに、負けない？」
慶ちゃんはやっぱりお兄ちゃんだから、なにかを感じとっているみたいだ。
「大丈夫大丈夫。だから、そんな悲しそうな顔をするな」
「そうだね！」
お父さんに頭を撫でられて、目を細める慶ちゃん。
それにつられて、自分もとお父さんに飛びつくたかとシゲ。
この光景も、見納めになってしまうのか。
「そろそろお母さんのところに行こうか。」
私がお父さんの車イスをおして、お母さんの病室までいく。
「お母さーん！」
部屋に飛び込む弟たちに続いて、私とお父さんも部屋に入った。
「赤ちゃん、どうだ？」
「頑張ってるよ。まだでてこないでねー」
優しい顔でお腹をなでながら、お母さんが言う。
それからは、久しぶりに家族6人の時間を過ごした。
そろそろ、二人だけにしてあげるか。
「そうだ、病院のコンビニに用事があるんだった。
ちょっと行かないと！みんなもついてきてくれる？」
「いいよ！」
良かった。のってくれて。
コンビニであれこれ買って欲しいといういう弟たちをなだめているうちに、結構な時間がたっていた。
そろそろいいかな。
病室にもどると、二人はすっきりとした顔をして、お帰りといってくれた。
これが家だったらいいのに…
今が学校帰りだったらいいのに…
未練をたちきるかのように首をふり、二人に向き直る。
「そろそろお父さんも戻ろうか。」
「そうだな。」
「お父さん、また一緒に遊ぼうね！
頑張って病気と戦ってね！」
「たかも！キャッチボールとかしたい！」
「えほんよんで！」
弟たちの声に、お父さんが涙ぐんでいく。
「ああ。約束するな。」
泣き顔を見せる前に、帰らせてあげるか。
「じゃあ、お父さんを病室に送ってくるから、ここで待っててね。」
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作者名：ぽん | 作成日時：2017年5月22日 16時
