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……誰かが呼んでいるような気がする…
「……おーい！大丈夫ですかー！」
女の人か？というか、ここはどこだ？
恐る恐る目を開けると、学生服には似合わない、明るめの茶髪をした女の子が俺の顔を覗きこんでいた。
見たところ、高校生くらいだろうか。
「あ！良かった！生きてる！
こんなところに寝てるから、ビックリしちゃったよ！」
「すみません。
あの、ここどこですか？」
「ここはどこって、東京だけど。
え、なに？ドッキリ？ギャグ？記憶喪失になっちゃった的な？」
目の前の少女は笑っているけれど、残念ながらドッキリでもギャグでもない。
「そう…みたいです…」
「お財布は？身元分かるものとかあるんじゃないの？
学生証とか。」
僅かな期待をこめてポケットを漁るも、中にはなにも入っていない。
「なにもありません。
加藤成亮っていう名前は覚えてるんだけど。」
「早く言ってよ！
それなら、このへんの大学に電話して、加藤成亮っていう学生がいないか聞いたら、分かるかもよ！
見た目的に大学生くらいだと思うし。」
彼女はそう言うと、意気揚々としてスマホを取り出した。
「あの、あなたの名前は？
なんでそんなに一生懸命になってくれるの？
あと、学校は？」
「あ、自己紹介まだだったね。
私は橘A。高２だよ。
まあ、あとは内緒。女の子は、秘密があった方が魅力的に見えるんだよ？」
そう言われると、気になるじゃんか。
彼女が電話を掛けてくれている間、もう一度記憶をたどろうとしてみる。
しかし、悔しいことに何一つ思い浮かばない。
先程から気を落とした声で電話をしているAちゃんの様子からして、向こうも手応えは無しなんだろう。
「ありがとうございました。
これ以上迷惑を掛けるわけにはいかないので、これで失礼します。」
「え？まってよ！だいたいお金も持ってないんだから行くとこなんてないでしょ。」
そう言われると、返す言葉もない。
「よし！じゃあ、これから私とちょっと付き合ってよ！
そしたら、今晩は家に泊めたげる！」
いやいやいや、それはマズイだろ！
高校生の女の子と二人なんて！
それに、これからちょっと付き合うってなんだよ！
「さすがに、高校生の女の子と夜二人になるのは…」
すると、突然笑い出すAちゃん。
「なに想像してんの〜笑
家にはお兄ちゃん達もいるから。
意外とエロイっていうか、そういう知識は覚えてるんだ。」
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作者名：作者 | 作成日時：2018年6月1日 23時
