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祐也side
Aの診察が終わると、救命にしては珍しく静かな時間になった。
「こんなに静かなのも珍しいね。
そうそう、前に言ってた小山が医者を目指すきっかけになった、はとこって、Aちゃんなの？」
そして、静かな時間に爆弾をぶっこむ、指導医の山下先生。
「なんで知ってるんですか？！」
「嘘？言ってみただけなのに。
まあ、良かったじゃん。あの子の体を良くしてあげたいから医者になったんだろ？
目的達成。」
「まだまだ全然ですよ。
発作を抑え込んだだけですし。
それに、あんなに震えるまで怖がらせちゃって。
たぶん、山下先生が点滴をしていたらもっと恐怖心も取り除けたはずです。」
基本的にはポジティブな俺だけど、Aが絡んでいるからか、ネガティブ思考が止まらない。
「そうかな？
逆に、小山がやったから震えるくらい怖くても頑張れたって見方もあるけど。
小山、あれだな。Aちゃんのことになると、途端に後ろ向きになるんだな。
他のことではウザいくらいに前向きなのに。
え？好きなの？LOVEの意味で。」
「イヤイヤイヤ！ダメでしょ！
血縁関係ありますから！」
何を言い出すんだ、この人は。
「血縁関係っていっても、はとこでしょ。
充分恋愛対象になるよ。」
「そりゃ確かに、久しぶりに会って綺麗になったなとかは思いましたけど！
アイツ、他の兄弟は呼び捨てにしないのに、俺のことだけ呼び捨てにするんですよ。
それだけ、なんとも思われてないってことです。」
「それって、呼び捨ての方が特別感があるよね。
一人だけ呼び捨てな訳だし。」
確かにそういう見方もできるんだけど。
というか、俺も人から相談されたらそう答えるだろうし。
でも、自分のこととなると、分からなくなる。
その後、ちらほらやって来る患者さんの診察をしていると、Aの点滴が終わったことを知らせるナースコールが鳴った。
「もう一回だけ、胸の音を聞くね。」
さっき山下先生と話したことが頭をよぎる。
ダメだ。集中集中。
Aは不服そうにしながらも、大人しく深呼吸をしていてくれる。
「もう帰宅しても大丈夫そうです。」
「うん。見たところも大丈夫そうだね。
念のため近いうちに呼吸器外来で診察を受けてください。」
「ありがとうございました。
ほら、Aちゃんも。」
「ありがと…」
蚊の鳴くような声で恥ずかしそうに言うAに不覚にもキュンとした。
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はるあ(プロフ) - 今後の更新も良かったらしてもらえたらとても嬉しいです^ - ^作品凄く面白いです！ (2018年9月4日 12時) (
レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94291号(プロフ) - 毎回毎回楽しみにしてます！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2018年3月7日 22時
