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「息、止めないで」
そんなことを言われても怖さと緊張と恥ずかしさの3拍子で息をすることを忘れてしまう。
「ほら、スーハーって」
慶ちゃんに乗せられてなんとか深呼吸をするとやっと聴診が終わった。
「あの、喘鳴はもちろんですが、脈拍が凄く速いんですけど。」
「ああ、緊張してるからかな。
気管支拡張剤の吸入を多目にやっちゃったみたいだから、それの副作用もあるだろうし。
ゴメンね、先生にも聞かせてね。」
今度は、祐也の指導医の先生が聴診器を構えた。
おそらく優しい先生なんだろうけど、初対面ってだけで物凄く怖く感じる。
「さっきやったから大丈夫。」
ままならない口調でそう伝え、服の裾をガードする。
「そんなこと言わずにさ。お願い。」
優しくそう言ってくれる先生に、罪悪感を感じるけど、服の裾から手を離す勇気はない。
「もう、やることやらないと、お家に帰れないよ。」
結局、ちょっと強めの口調になった慶ちゃんに無理矢理手を横に持っていかれ、診察を受けることとなった。
も〜…祐也がいなければ、診察も一回で済んだのに。
「結構大きめの発作だね。
頻脈の方は問題ないと思う。最後に点滴だけ頑張ろうか。
小山、やってみよう。」
先生が下した判断は、私にとっては最悪なもので、その上、針を射すのは祐也ときた。
「じゃあ、ここの台に手を乗せて。」
声のトーンや様子から、祐也の方も緊張しているのが伝わる。
その真剣な様子に、なんだか協力してあげないといけない気になって、私は大人しく手を差し出した。
だけど、怖いという気持ちはどうしようもなくて、恥ずかしいことに腕が震えてしまっている。
「Aちゃん、大丈夫だよ〜。
祐也、頑張るから、Aちゃんも一回、体の力を抜こうか。」
そう言って慶ちゃんは背中を優しくさすってくれるけど、準備が進められていくに連れて、恐怖心も震えも大きくなっていく。
「ここの血管でいけますかね？」
「そうだね。ちょっと刺すときは痛いかもしれないけど、確実に入りそう。」
血管が細いため、手の甲に刺すと言われ、恐怖と震えは頂点になった。
「Aちゃんも頑張ってくれてるんだから、小山も頑張れよ。」
その言葉を聞き、祐也はとうとう針を刺した。
先生の読み通り、無事に針が入り、祐也は心底ホッとしている。
痛かったのは確かだけど、目の前でこんなにホッとしている祐也に痛かったというのも気が引けて、私は大人しくしていた。
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はるあ(プロフ) - 今後の更新も良かったらしてもらえたらとても嬉しいです^ - ^作品凄く面白いです！ (2018年9月4日 12時) (
レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94291号(プロフ) - 毎回毎回楽しみにしてます！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2018年3月7日 22時
