喘息 ページ3
引っ越してきてから、3日が経った。
昔、一緒に遊んでいたときの感じも思いだし、そろそろ新生活にも慣れてきた感じはしていた。
しかし、丈夫だとはいえない私の体は、思った以上に環境の変化に敏感で、引っ越して来て以来、毎晩起こる喘息の発作は日に日に大きくなっていった。
夜にゆっくり寝ることができないから、疲れが溜まっているのも発作が大きくなる原因のひとつだろう。
初日は持っている吸入器で対処できたけど、今日は吸入器を使ってもなかなか良くならない。
というか、発作が酷すぎて吸入器をうまく使えない。
コンコンッ
部屋で一人で苦しんでいると、ドアがノックされた。
「慶一郎だけど。大丈夫?部屋、入ってもいい?」
助けて欲しい気持ちと、診察される怖さが同時にやってきて、なかなか返事ができない。
そんな私に痺れを切らした慶ちゃんは、ゴメンね、と謝りながら部屋に入ってきた。
「あらら。今日のはちょっと酷いね。」
「知ってたの?毎晩発作が起きてたこと。」
咳と喘鳴に苦しめられながら慶ちゃんに返すと、無理に喋らなくてもいいよ、と言われた。
「吸入、何回したの?」
さっき喋らなくてもいいと言われたし、私自身、話すのもしんどいから、指で4と示した。
「もー、使いすぎだよー。
用法用量は守らないと。それでこの状態だと、救急に行った方が良いね。
仕度するから、ちょっと待ってて。」
マズい雰囲気に、首を横に振る。
意思表示って大事だよね。
「ほんと、昔から変わらないねー。
ちゃんと付いていってあげるから、頑張ろ?」
おそらく、その"頑張ろ?"は強制なんだろう。
慶ちゃんはどんどん準備を進めていく。
「よし、準備完了。ちょっと我慢ね。」
そう言うと慶ちゃんは私に近づいてきて、私をお姫様抱っこした。
抵抗しようにも、そんな元気はどこにもない。
「ゴメンね、病院に着いたら車椅子があるから。」
慶ちゃんって、こんなに強引だったっけ?
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はるあ(プロフ) - 今後の更新も良かったらしてもらえたらとても嬉しいです^ - ^作品凄く面白いです! (2018年9月4日 12時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94291号(プロフ) - 毎回毎回楽しみにしてます! (2018年3月22日 21時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2018年3月7日 22時