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貴久side
「あれあれ、どしたの？
って、俺を盾にしないの。」
祐也は兄貴の診察室に走っていったかと思うと、兄貴を盾にして後ろに隠れた。
「タカ、どうしたの？」
「祐也が熱でたって嘘ついて。」
「祐〜、注射なんて一瞬で終わるよ？」
「でも痛いもん…」
「あと、嘘をつくのもダメ。
特に、仮病なんて最低なんだからね。」
味方になってくれると思った兄貴にまで諭されて、軽く叱られ、祐也はグズグズだ。
「兄貴、少し無理にでも早く終わらせた方が良くない？」
「そうだね。」
祐也に聞かれないように作戦会議をし、祐也を後ろから固定した。
「ちょっと！やるなんて言ってない！」
「は〜い、もしもしするよ〜」
こういうときは、兄貴もなかなか容赦ない。
というか、祐也の暴れる手が時々俺にクリーンヒットするんだけど。
本当に、たかが聴診のどこにそこまで暴れるほどに嫌がる要素があるんだか。
「はい、問題ないね。
タカ、そのまま抱っこしててね。」
「問題ある！」
もう、本当にしつこいんだから。
聴診で思った以上に体力を持ってかれた俺は、最終兵器を出すことにした。
「そう、問題あるなら、しばらくサッカーはできないね。」
そう、祐也は"サッカーができなくなる"というと、大抵おりこうさんにしてくれる。
これは、小さいころからずっと変わらない。
「もー！やるならやれば？！」
お、さすが最終兵器。
逆ギレしていることには目を瞑ろう。
兄貴はそんな祐也の乱暴に出された腕を、やれやれとあきれた顔をしながら消毒した。
「ゴメンね、チクッとするよ〜」
注射の直前は逆ギレして強気だった祐也も、いざ針を刺されると、俺にぎゅっとしがみついてくる。
不覚にも可愛いと思ってしまったのがなんだか悔しい。
「はい、おしまい。がんばりました。」
「痛かった！下手くそ！」
「はいはい。なんとでも言ってください。
で、夕飯はどこに行きたい？」
「お寿司！」
「了解。じゃ、俺の勤務時間が終わるまで待合い室で待っててね。」
・
「ってことがあったの。」
「へ〜、今度からかってやろ。」
めっちゃ楽しそうだわ。
まあ、俺もあのときは結構大変な目に遭わされたから、ちょっと仕返しができた気分。
ただ、からかってられるのも今だけだよ？
だって、Aが通う看護科にも実習があるってことは、予防接種をしないといけないってことだからね。
終わり←・
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はるあ(プロフ) - 今後の更新も良かったらしてもらえたらとても嬉しいです^ - ^作品凄く面白いです！ (2018年9月4日 12時) (
レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94291号(プロフ) - 毎回毎回楽しみにしてます！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2018年3月7日 22時
