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貴久side
「ねー！俺、今日ちょっと風邪気味なの！」
「はいはい、それならちゃんと診察して薬貰わないとね。」
「そこまでじゃない！」
「だったら注射しても大丈夫。」
だいたい、そんな大声を出せる時点で風邪じゃないだろ笑
「ほら、お熱測るから体温計挟んで。」
さっきから体温計とにらめっこするだけで、まったく測ろうとしない祐也を促すけど、祐也はそのまま動こうとしない。
「だって…測ったら注射するもん…」
本当に注射が嫌いなんだから困ったものだ。
まったく、俺だって怖い兄貴になりたい訳じゃないんだぞ。
「祐也、もっとキツく言われなきゃ分かんないの？
俺が優しく言えるのも、ここまでだぞ？」
軽く凄みを効かせると、祐也はビクッとして半泣きになりながらも体温計を挟んだ。
半泣きになるくらいなら、初めから言うことを聞いてくれたらいいのに。
しばらくの沈黙の後、体温計がなった。
「何度？」
「37.6。やっぱ熱あるけど、微熱だから自然に治るわ。」
…嘘だな。何年祐也の兄をやってると思ってるんだ。
ここで注射や点滴はしなくてもいいけど、予防接種はできないギリギリの体温を言ってくるあたり、頭がいいんだか、ずる賢いんだか。
「ふ〜ん…見せて？」
そういうと、焦っているのがバレバレな感じで「もう消しちゃったから」なんて言ってくるから、まだまだ可愛い。
「そう。ちょっとゴメンね。」
おでこに手をあてると、さっきよりもさらにビビった顔になる。
もう、早く白状すればいいのに。
「ほら、温かいでしょ？」
その声は緊張からか、嘘がバレる恐怖からか震えている。
本当に、昔から成長しないんだから。
祐也が震えているのはきっと、体調のことで嘘をついたときには、俺が凄く厳しくなるのを知っているからだろう。
「そう？俺にはそんなに温かいとは思えないんだけどな〜」
「……」
黙りこんで、涙は流れる寸前だけど、敢えて助け舟は出さず、無言の圧力をかけ続ける。
祐也だってもう、バレているのは分かってるはずなのにな。
「祐也〜、大丈夫？」
あ、兄貴だ。
あまりに来るのが遅いと思って、ドアから覗いたのか。
俺の無言の圧力に堪えきれなくなったのか、祐也は自分から診察室から顔を出している兄貴のところに逃げていった。
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はるあ(プロフ) - 今後の更新も良かったらしてもらえたらとても嬉しいです^ - ^作品凄く面白いです！ (2018年9月4日 12時) (
レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
名無し94291号(プロフ) - 毎回毎回楽しみにしてます！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作成日時：2018年3月7日 22時
