許婚はお医者さん 2 緑

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成亮さんと一緒に、釣り竿やエサの準備をする。



「ここをこうしたら、準備完了ね。
で、餌を入れて。そうそう。」



初めてやることばかりで、ウキウキしてくる。



「で、投げるときはこういう感じで。」



成亮さんが釣り竿を少し後ろに引いたかと思うと、綺麗に糸が放物線を描いた。



「すごい！」



素直に感心すると、成亮さんは照れ笑いを隠すかのようにこの辺で釣れる魚の話を始めた。



「あ、なんか掛かった！」



成亮さんの声に釣り竿を見ると、さっきと違う動きをしている。



「リール巻いてみる？」



「やってみたい！」



成亮さんから釣り竿をバトンタッチし、リールに手を掛ける。

巻き方や持ち方にもコツがあるのかもしれないけど、中々重くて大変だ。

苦戦していると、不意に重さが無くなった。



「持ってるから、巻いてみて。」



後ろから伸びてきた成亮さんの手が、竿を支えてくれたからだ。

巻くことに集中してクルクルし続ける。



「そのくらい。
竿をこっちにあげるよ。」



竿には魚が2匹付いていた。



「釣れた釣れた！」



地面の上でピチピチしている魚にテンションが上がる。



「あんまり近づくと針刺さって危ないよ。」



「はーい」



成亮さんが慣れた手付きで魚を針から外してクーラーボックスに入れる。



「次、私も一緒に投げてみたい！」



「一緒に？」



「うん。一人だと不安だもん。」



「じゃあ、持っててよ。」



釣り竿を持つ私の後ろから、成亮さんが一緒に釣り竿を持つ形になる。

こうしていると、距離が近くてドキドキする。



「せーの」


成亮さんの動きに合わせて動かすと、綺麗に海に吸い込まれていった。



「そうそう。そんな感じ。
懐かしいな。
小さい頃は、後ろから一緒にやってもらう方だったのに。」



お父さんといい思い出のある成亮さんが、少し羨ましかったりする。

小さい頃の成亮さん、気になるな。



「あ！もうブルブルした！魚いる？」



「早！いると思うよ。巻いて巻いて。」



成亮さんに支えてもらって巻くと、さっきと同じような魚2匹に加え、普段あまり見ないような魚も掛かっていた。



「すぐ掛かったね。」



「すごい、こんなのあんまり見たことない。」



綺麗な色をしている魚が気になって、ちょっとつついてみる。

その瞬間、魚が急に跳ねたかと思うと手に激痛がきた。

びっくりして涙が出てくる中、成亮さんの慌てた声が聞こえる。



「大丈夫？！」



少し落ち着いたころには、手に釣り針が刺さっていた。

糸は、成亮さんが近くまで切ってくれたみたいだ。

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