・ ページ12
「あれ？びっくりしてる。
麻酔頑張ってくれたから、あっという間だったでしょ。」
「…ありがとうございました」
痛くて怖かったけど、やってもらった訳だしお礼は言う。
「お風呂上がったときにでも、1日１回はガーゼを清潔な物に替えてね。
あと、薬も出すからちゃんと飲んで。」
「もう、そんなに分かりやすく嫌な顔しないの。」
だって、嫌なものは嫌なんだもん。
「じゃあ、お大事にね。
このあとはご褒美に、シゲからどっか良いとこ連れてってもらいな？」
「勝手に言う？
まあ、そのつもりだったけど。」
成亮さんが照れる。
良いところって、どこだろう。
診察室を出て、会計を済ませ、車に乗り込む。
「ねぇ、どこに行くの？」
「とりあえず、家に荷物おいてから、ご飯食べにいくよ。」
とりあえず？ってことは、ご飯を食べてからが本命？
成亮さんは一度家によって荷物を置くと、行きつけの居酒屋の駐車場に荷物を止めた。
ここのご飯はとても美味しい上に禁煙だから、喘息を持つ私でもゆっくり楽しめる。
今日はこのあとも予定があるみたいだから、成亮さんもお酒は飲まずにご飯だけサッと食べた。
「ねぇ、次どこいくの？」
「着いてからのお楽しみ。
その前に、お薬飲んで。」
目の前に差し出されたのは、不幸を呼ぶ白い粉。
「嫌がると思って、オブラート持ってきたから。」
そう言うと成亮さんは、カバンからオブラートを取り出してクルクルと薬を包んだ。
「はい、口開けて。」
為されるがままなのもなんだか嫌で、無駄だと分かっていても口を閉じてそっぽを向く。
「飲まないんだったら、このまま家に帰るよ。」
だけど、主導権をもっているのは完全に向こうだった。
成亮さんと二人でお出かけできる、しかも、もったいぶるようなところにだ。
それがなくなるなんて、絶対嫌だ。
仕方なく口を開けると、ツルンとした感触のものが入ってくる。
早く流し込みたくて水をがぶ飲みすると、ようやくひと息ついた。
「そろそろいい時間だし、行こっか。」
成亮さんはしばらく車を走らせ、丘の下に車を停めた。
「ここの上、星がすごくよく見えるんだ。」
成亮さんが連れてってくれようとしたのは、星が綺麗なところだったのか。
丘の上の開けているところに出ると、頭上にはめちゃくちゃ綺麗な星空が広がっていた。
「きれい…」
「普段は中々、星をゆっくり眺める時間もないから。」
そう嬉しそうにする成亮さんはとても魅力的だった。
いろいろあったけど、最高の休日だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 386人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NEWS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱる - いつも楽しく読ませていただいています！リクエストなのですが、主人公ちゃんが高熱が出てしまって、辛くて成亮くんに伝えようと思うけど、成亮くんが忙しくて主人公ちゃんが言えなくて、成亮くんが家にいない時に家の中で倒れちゃうようなお話が読みたいです！ (2019年9月14日 18時) (
レス) id: d682aba4cc (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話大好きです！！何度も読み返してます^ ^更新楽しみにしています！ (2019年8月29日 4時) (レス) id: 12bc81e91e (このIDを非表示/違反報告)
さくら - このお話とても好きです(*^^*)更新楽しみにしています！大変だと思いますが無理せず頑張ってください！ (2019年6月2日 10時) (レス) id: 6473092b8f (このIDを非表示/違反報告)
なや - 更新待ってます (2019年4月7日 9時) (レス) id: 370aedeca5 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 加藤さんが優しくてとても楽しく読めました。また優しい加藤さんのお話待ってます。 (2019年3月13日 18時) (レス) id: 5ac0d2c424 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：作者 | 作成日時：2018年9月28日 22時
