にじいろFamily #6

･ ページ25

桃色side

バトンがだんだんとともに迫っていく。

不安そうな表情は未だ晴れず。

｢とも、大丈夫やで｣

そっとつぶやくと同時に、自分も不安がっていたことに今更ながら気がついた。

今までの頑張りは無駄じゃなかったってこと、ともに知って欲しい。

そして、これからも、何事にも頑張れる子であって欲しい。

橙｢はまちゃん、次ともやで！｣

誰よりも負けず嫌いな君なら、きっと、

青｢あ、また泣いてるやん。見えなくなるよ｣

なんでも叶えられるはず。

｢とも！がんばれー！｣

紫｢ともー！｣

1人2人。ちょっとずつ追い抜いてゴールを目指す。

立派やな。

でも、

緑｢っ！｣

｢あっ、｣

黄｢うわ、まって、｣

神様は、

緑｢ふぇっ、ｸﾞｽﾞｯ｣

青｢とも、｣

橙｢あー、痛そうやな、｣

いじわるすぎる。

紫｢…とも、｣

前の子を抜かそうとした瞬間、足が引っかかって派手にズッコケた。

勝負事はみんな本気。

前の子も悪気があったわけじゃない。

だけど、ともが可哀想で、何も出来ない自分にイラついて、感情がもうぐちゃぐちゃ。

1人2人3人。ともを抜かしていく。

足からは血が垂れて、誰がどう見てもすんごく痛そう。

それでもともは、

緑｢っ、ﾋｯｸ｣

立ち上がって、俺たちの方を向いた。

そんな姿に、思わず
“かっこええよ”
って、ともに向かって微笑む。

みんなどんな顔をしたのかは知らない。
やけど、俺らの顔を見たともは、また、目の色を変えて走り始めた。

紫｢とも！かっこええよ！｣

橙｢あとちょっとやで！｣

黄｢がんばれ！｣


もちろんともは最下位。
それでも、ともが世界で一番かっこよく、俺たちの目には映った。




ゴールしたともは、真っ先に俺らのところに走ってきた。

緑｢うわぁぁぁぁあんっ、ｸﾞｽﾞｯ｣

俺に抱きつくと、思い切り声を出して泣き始めた。

｢ともー、大丈夫？｣

緑｢まけたぁっ、うわぁぁぁぁぁあんっ、｣

｢がんばったがんばった！｣

青｢絆創膏もってる？｣

橙｢あるけど…洗ってきた方がええでそれ。｣

緑｢ともっ、ﾋｯｸ、ころ、ｸﾞｽﾞｯだっ、｣

黄｢いたかっなぁ、｣

みんなでともを囲んで慰めていると、先生が焦った顔で走ってきた。

そんな急がんでも…(笑)

先生｢あ、智洋くんの、パパたち！こんにちは｣

橙黄青紫桃｢｢｢｢｢こんにちは｣｣｣｣｣

先生｢あー、ごめんなさい。ちょっと、派手にコケちゃって…｣

･→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す