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赤色side
俺なんて俺なんて俺なんて。
なんでそう思ったのかは分からない。
けど、もう、そう思い出せば止まらなくて、苦しかった。
桃｢こっちおいで｣
とりあえず、ひとりじゃ壊れそうでのんちゃんの優しい声に頼った。
｢…｣
桃｢あっ、来た？｣
ぎゅっ、
桃｢わぁ、だいからハグしてくれるなんて何年ぶりやろ｣
思いっきり抱きついて、そうしたら涙と一緒に声もこぼれる。
｢うぅっ、ひっ、｣
そんな俺をなんも知らんままののんちゃんは、優しく抱きしめ返してくれる。
『どうしたの？』
『なにがあったの？』
なんて言葉は言わずに、ただ抱きしめて背中をポンポンしてくれた。
…うん、それだけで十分だよ。
｢っ、ひっく、ぐずっ、｣
桃｢んふふっ、そんな泣かんでも大丈夫だよ｣
って言う言葉にさらに涙が溢れる。
普段こうやって甘えたりもしないし、泣いてるとこなんて誰にも見られたない。
だから、どうしたらいいのか分からないし、たぶんのんちゃんも困ってるよな。
｢っ、ごめっ、｣
離れようとすると、
ぎゅぅ、
っと俺のことを抱きしめて離さないのんちゃん。
桃｢我慢してんねやろ？｣
ダメじゃん。って言って笑いながら頭を撫でてくれる。
…なんで、そんなに優しくしてくれるん、？
それから少しの間。
我慢って言葉を忘れた俺は声を上げてのんちゃんの服を濡らし続けた。
のんちゃんは、やっぱり、
なにがあったの？
とは聞かずに、優しく慰めてくれた。
俺が、お母さんなしでもここまで来れた理由は、
この家の温もりが、優しさが、“お母さん”っていう俺に足りない存在を隠してくれていたからなんだって恥ずかしいけど、今更わかった。
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作者名：kana | 作成日時：2022年2月11日 13時
