#1.ダイヤモンド ページ3
コツ、コツと1歩1歩歩いていく。
霧のように白く塗られた建造物。俺はそこに自身の片手を持ち、目的の場所へ向かっていく。
「アー」
…足聞こえる
「イー」
後方から見知った声も聞こえた。
「ディア下さい！！」
「うわぁ！？」
後ろから勢いよくがしりと掴まれる。
少しの間硬直したあと、状況を理解するとすぐ様声のした方をむく。
「アイディア下さいA様ぁ……」
予想通り末っ子、フォスフォフィライトであった。
「今忙しいんだけどねぇ…」
ふと、ついこの前の騒動を思い出す。
モルガとゴーシェが二人だけで月人に挑んだ、という事件だった。
当然俺もその場に居合わせた訳だが、本人達いわく「先生に楽をしてやりたかった」らしい。
気持ちはわかるがもし連れ去られたら元も子もないだろうが。
歳をとったからか先生の気持ちもわかってきた気がする。
話を戻すが、そこでフォスフォフィライトにあたえられた役職は
「……博物誌のアイディア、か」
今を温存し未来の足場を作る仕事。
俺はそう捉えている。だが先生もこうなるのは分かっていただろうに。
コイツはこういうコツコツしたタイプじゃない。続くかどうか…
「A〜〜！何かいい案ないの〜〜？」
「いい案、って……まず何を知りたいんだよ」
「それはぁ……言えないけど…いーから教えろーっ！」
そう言って俺の左手を奪う。
皆から甘やかされ育った末っ子のフォスフォフィライト。
頬を少しふくらまし不機嫌にこちらを見つめている。
「…ダイヤが妙な戦い方をしていた」
「！」
「邪魔にならない程度に聞いてみたらどうだい？煩くしたらボルツに怒られるからな。あとにーちゃんの片腕返して？」
「フォスならもう居ませんよ」
「……えーっと？」
「ルチルです」
ルチル、と名乗った彼は呆れ顔で「やれやれ…」と言う。
恐らく面識があるのだろうが、片手を奪われたせいで思い出そうにも思い出せない。
我々の体はどこか欠けると、それと同時に今までインプットされていた記憶も欠けてしまうのだ。
「教えてくれればよかったのに」
「今教えたじゃないですか」
「あらほんと」
「…で、片腕取り返さなくていいんです？」
「あー…そうだな。腕がなきゃ仕事が出来ん。行ってくるよ」
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小松(プロフ) - コメントありがとうございます！見た目の設定は作者の中ではなんとなーく決めておりますが、基本的には読者の皆様のご想像にお任せします！ (2020年9月7日 21時) (
レス) id: 4f95cc93a6 (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - 続き気になりますっ！楽しみに待ってます！少し質問なのですが、見た目の設定とかってあるのでしょうか…？ (2020年9月7日 21時) (レス) id: cd18a981b6 (このIDを非表示/違反報告)
小松(プロフ) - あ！外すの忘れていました！ご指摘ありがとうございます！ (2020年8月31日 0時) (レス) id: 4f95cc93a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小松 | 作成日時：2020年8月30日 23時
