#5.初陣 ページ15
「1番軽い剣を」
「こちらでーす」といい剣を先生に渡す。
ルチルは驚いて、心配したように「本気ですか！？」と言う。
先生は静かにフォスに剣を渡すと、本当に通るとは思っていなかったのか慎重に剣に触ると、やっと戦いに出れると自覚したのか嬉しそうに剣を持つ……が、先生が話した瞬間重さが一気に現れたのか、やはり持ち上がらずに苦戦していた。
「ほーら、言わんこちゃない……」
「…やはり、足以外は変わっていないか」
ゆっくり、ゆっくりと剣をふんばって持ち上げるフォス。
「まい、にち……訓練…しますので……ととっ…」
「な、に…と、ぞっ！！」
上に剣を振り上げるフォス。
腕は震えており、砕けそうだ。
「…前々から不思議なのだが、向いていないとわかっていて何故そうも戦いたがる？」
先生はいつもと変わらない顔で静かにフォスに問う。
フォスはそんな先生の質問に不思議そうな顔をしていた。
「…そんなの…先生が大好きだから助けたいんです」
先生が、好きだから。
そんな軽薄で、単純な回答だった。
ルチルもイエローも先生も俺も、皆驚いた顔でフォスを見る。
当たり前のような顔をして答えるフォスに、俺は何だかおかしくなった。
「あは…あっはははは！先生が！好きだから…はっははは…」
「え、えぇ！？何さ、僕可笑しいこと言った！？」
「あーっはははは……そう、そうだよな！」
それにつられたのかイエローも笑いだす。
「ふっ……ははははは！」
「あっはははは！ねっ、ルチル！君もだよな…っふふっ…」
ふい、と不機嫌に眉間に皺を寄せ目をそらすルチル。
「照れてやんの」
そう、先生が大好きだから助けたい。
そんな単純な想いを忘れたのはいつからだったろうか。
何故今まで思い出せなかったのだろうか。
単純で優しい子、それ故に危うい子。
この子もこんな軽薄な想いを忘れてしまうのだろうか。
「兎も角、戦闘は無理だが1度アメシストの見回りを補佐してみなさい」
「えっ…見回り……」
その言葉を発した時、言葉の意味を理解したのか段々と顔が上がってくる。
嬉しそうに「本当ですか！？」と喜ぶフォスの横で、イエローは納得した顔で賛同した。
「成程、それはいいですね。アメシストには俺が話そう」
「わーっい！！」
かくして、元・博物誌のフォスの初陣が決まった。
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小松(プロフ) - コメントありがとうございます！見た目の設定は作者の中ではなんとなーく決めておりますが、基本的には読者の皆様のご想像にお任せします！ (2020年9月7日 21時) (
レス) id: 4f95cc93a6 (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - 続き気になりますっ！楽しみに待ってます！少し質問なのですが、見た目の設定とかってあるのでしょうか…？ (2020年9月7日 21時) (レス) id: cd18a981b6 (このIDを非表示/違反報告)
小松(プロフ) - あ！外すの忘れていました！ご指摘ありがとうございます！ (2020年8月31日 0時) (レス) id: 4f95cc93a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小松 | 作成日時：2020年8月30日 23時
